「2050年排出ゼロ」2050年までに温室効果ガスの排出量を実質ゼロとする目標を、政府は法制化する方針を発表しました。その重点15分野の中に、もちろん住宅も含まれています。住宅において温室効果ガスの排出を抑えると、真っ先にイメージされるのはZEHです。その名の通り「ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス」ですから、まさに排出ゼロを絵に描いたような住宅です。国はキャンペーンを展開して、ZEHを推進することでしょう。住宅関係者であれば誰でも知っているように、ZEHでは壁や窓の断熱性を高めることで消費エネルギー量を抑え、太陽光発電で充足させます。つまり、ZEHなら一般家庭で実質排出ゼロが実現できます。しかし、今回話題にしようと思っていることは、このテーマではありません。以前に書いた記事でも、住宅を高断熱化することが、現実にどれだかの効能があるかを試算してみました。仕様規定で実現できる省エネルギー等級4より断熱性を高めても、現実的に日本では、自家用車1台分の貢献にも程遠いのです。その上、日本の住まい文化とは違う、片流れ屋根で窓の小さい家ばかりの街並みを残しかねません。コロナですっかり失われてしまっていますが、インバウンドを生み出していた日本の観光資源は「日本の文化」にあるはずです。将来的な資産価値を失うことになると危惧しています。「過ぎたるは及ばざるが如し」で、広く普及する程度の断熱性で十分なのです。その上で、ZEHの実質ゼロと温室効果ガスの実質ゼロでは、どうやら「実質」の捉え方にも差があります。温室効果ガスの実質排出ゼロでは、排出を減らすことと森林などの吸収量を均衡させることで「実質ゼロ」としています。太陽光発電などの自然再生エネルギーの活用は、断熱と同じ排出を減らす取り組みなので、ZEH ..
この続きはA-PLUGに会員登録して
読むことができます!
A-PLUGは工務店様・リフォーム店様などの
建築関係プロユーザー対象の会員制サイトです。