◆改正所有者不明土地法が成立
◆防災・再エネへの活用を可能に、使用権も20年に延長
「所有者不明土地の利用の促進に関する特別措置法の一部を改正する法律」が4月に成立、5月9日に公布となった。公布から6カ月以内に施行する。
同法は平成30年に制定され、所有者不明土地を地域のために役立てる制度や収用手続きの迅速化を図る制度が創設された。改正の背景として、人口減少、少子高齢化が進む中で、土地の利用ニーズの低下や所有意識の希薄化が進み、所有者不明土地のさらなる増加が見込まれる状況があった。
一方で、所有者不明土地の「地域福利増進事業」については、自然災害に対応するための施設としての利用ニーズが高まっている。また、所有者不明土地は、適正に管理されないことで周辺地域に悪影響を及ぼす可能性があり、地域における関係者が一体となって対策を行うことが不可欠とされている。
今回、地域の関係者が実施する対策を支援する仕組みを充実し、公益性の高い施設として活用する「地域福利増進事業」の対象事業に備蓄倉庫などの災害対策関連施設や、再生可能エネルギー発電設備の整備を追加した。また、土地使用権の上限期間を10年から20年へと延長し、事業対象の土地を拡大する。腐食した空き家など、 引き続き利用されないと見込まれる建築物が存在する土地での事業が認められる。
管理が実行されない所有者不明土地について、周辺地域の災害などの発生を防止するため、市町村長による勧告・命令・代執行を創設し、民法上利害関係人に限定されている管理不全土地管理命令の請求権を市町村長に付与する。勧告などの準備のため、土地所有者の探索のために必要な公的情報の利用、提供を可能とする措置も導入する。さらに、市町村においては、所有者不明土地対策協議会の設置、所有者不明土地や低未利用土地などの利活用に取り組む法人を所有者不明土地利用円滑化等推進法人として指定できるようにする。
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YKK AP 株式会社 発行「メディアレポート 2022.08」
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