◆所有者不明土地対策で新制度
「遠くにあり管理できない」などの土地を国庫に帰属
所有者不明土地の発生を防ぐことを狙いとする新たな制度「相続土地国庫帰属制度」が2023年4月27日からスタートする。
この制度は、相続した土地について「遠くに住んでいて利用する予定がない」、「周りの土地に迷惑がかかるから管理が必要だが、負担が大きい」といった理由から土地を手放したいというニーズに対応するもの。相続または遺贈(遺言によって特定の相続人に財産の一部または全部を譲ること)によって土地の所有権を取得した相続人が、一定の要件を満たした場合に、土地を手放して国庫に帰属させることを可能にする。
具体的には、相続などによって土地の所有権または共有持ち分を取得した者等は、法務大臣に対して、その土地の所有権を国庫に帰属させることについての承認を申請することができる。法務大臣は、承認申請された土地について、通常の処理や処分をするよりも多くの費用や労力がかかる土地として法令に規定されたものに当たらないと判断したときは、土地の所有権の国庫への帰属について承認する。土地の所有権の国庫への帰属の承認を受けた人が、一定の負担金を国に納付した時点で土地の所有権が国庫に帰属する。
申請をすることができないケースは、建物がある土地、担保権や使用収益権が設定されている土地、他人の利用が予定されている土地など。また、一定の勾配・高さの崖があり管理に過分な費用・労力がかかる土地、土地の管理・処分を阻害する有体物が地上にある土地などは承認を受けることができない。
負担金は、土地の性質に応じた標準的な管理費用を考慮して算出した10年分の土地管理相当額とされている。