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2023/10/10 08:00 - No.1341


改正民法施行で土地活用促進に期待|YKK APメディアレポート(住宅トレンド Vol.36)


住宅トレンド - YKK APメディアレポート -
A-PLUG 事務局

2023/10/10 08:00 - No.1341

 


YKK AP株式会社が発行する建築業界情報紙「メディアレポート」では、毎月様々な情報をお届け。「住宅トレンド」記事では国・行政・業界の動きや建築に関わる法改正などの情報をお伝えしています。その中で今回は「改正民法施行で土地活用促進に期待」と題した記事をご紹介します。

今回ご紹介するのは「メディアレポート 2023.8」に掲載された記事です。冊子PDFは下記よりご覧ください。

⇒ 冊子PDFを閲覧する


改正民法施行で土地活用促進に期待

空き家や所有者不明土地の活用に光明


所有者不明土地解消を目的とする改正民法が2023年4月に施行となった。127年ぶりの大改正とも言われるもので、ポイントは、財産管理制度の見直し、共有制度見直し、相隣関係規定の見直し、相続制度の見直しという4つで、今後の土地活用促進に期待がかかる。

「財産管理制度の見直し」は、所有者が不明であったり、所有者による管理が適切にされていない土地・建物を対象に、個々の土地・建物の管理に特化した財産管理制度を新たに設けた。

調査を尽くしても所有者やその所在を知ることができない土地・建物について、利害関係人が地方裁判所に申し立てることによって、その土地・建物の管理を行う管理人(弁護士・司法書士など)を選任してもらうことができるようになる。管理人は、裁判所に許可を得れば、所有者不明土地を売却することも可能だ。管理不全の土地・建物についても同様の管理制度が設けられた。

「共有制度の見直し」は、共有物の利用や共有関係の解消をしやすくするルールを整備。従来、兄弟や親族などによる共有名義の土地・建物について、不明共有者がいる場合には利用に関する共有者間の意思決定や持ち分の集約が困難であった。1人でも不明共有者がいると、その他の共有者が建物の解体を希望しても解体することはできなかったが、民法改正により、管理人を裁判所に選任してもらうことで解体できる仕組みなどを整備した。

「相隣関係規定の見直し」では、隣地所有者が不明状態でも対応できる仕組みを新たに設けた。従来、「隣地から越境した木を切りたいが、隣地から許可が取れず切ることができない」、「水道管を引き込みたいが、許可が取れず工事できない」といったケースがあったが、民法改正により、所定の手続きを行うことで、工事・利用が可能になる。

「相続制度の見直し」では、相続から10年が経過したときは、画一的な法定相続分で簡明に遺産分割を行う仕組みを創設、遺産分割の長期未了状態の解消を促進する。

近年、所有者不明土地が大きな問題となっている。土地問題研究会が2017年にまとめた報告書では、所有者不明土地は国土の22.2%、面積にして九州以上の410万ヘクタールあり、新たな対策が進まない場合、2040年には北海道本土面積とほぼ同等の約720万ヘクタールに拡大すると予測している。さらに、その機会損失や税の滞納などで経済的損失は累計約6兆円にのぼると試算する。

一方、住宅業界においては都市中心部や利便性に優れた地域での分譲地開発が進み、土地取得が難しくなっている。今回の民法改正により空き家問題が解消に向かえば、新たな展開も期待できそうだ。

土地仕入れにおける一つのハードルが前述の共有制度や相隣関係規定だが、例えば、不明共有者の問題で建物の解体が進まない場合でも前述の「共有制度の見直し」により、買取事業者側から所有者不明土地・建物の管理人選出の申し立てをすることができ、利用・処分を円滑に進めやすくなる。

空き家、所有者不明土地の活用が大きな課題となるなか、今回の民法改正は、そのネック解消を目的とするもので、今後それらの活用拡大が期待される。



[ご紹介]YKK AP 株式会社 発行「メディアレポート 2023.8


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