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2019/07/15 10:24 - No.506


第2回 劣化部位を記録する


事例に学ぶ耐震改修のセオリー
大菅 力

2019/07/15 10:24 - No.506

 
前回は現地調査の主目的の1つである耐力壁の調査について紹介した。今回はそのほかの現況調査について、リョウ建築事務所の事例をもとにポイントを紹介する。(前回記事はこちら)■耐久性に関わる部位の調査 耐力壁の有無や配置を調査するとともに、柱や梁などの接合部に用いる補助金物や基礎の仕様(鉄筋コンクリートか無筋コンクリートなのか)、基礎のひびや破損なども調査し、写真も漏らさず撮影する。基礎に関しては探知機を用いて鉄筋の有無も調査したい。写真撮影に際しては、その部位の全体が写っている写真とアップの写真の双方を撮影することが望ましい。特に劣化部位についてはアップの写真を必ず撮影する。 この事例では、金物を使用すべき箇所は釘打ちのみに留まり、金物の増設が必要な状況であった。また基礎については、外周部が布基礎となっており、探査機を当てたところ反応がなく、無筋のようだった。ただし、増築部に関しては鉄筋コンクリートとなっていた。また、床下に潜って確認したところ、中央部の基礎は独立基礎であった。 耐震性能を間接的に阻害する建物の劣化状況についても細かく記録する。まずはシロアリ被害と木材の腐朽だ。この事例では玄関の上がり框周辺シロアリ被害が見られた。床下に潜ってみると大引などがシロアリに食われてボロボロになっていた。腐朽の原因になる地面からの湿気については、この事例では乾燥が保たれており、問題は生じていなかった。 漏水関連では、小屋裏で確認したところ、過去に漏水した跡が確認されたが、恒常的な雨漏りではないようだった。外壁は増築部など含めて各面で仕上げ材が異なる状況であった。竣工時からあったと思われる金属の波板は錆びて一部に穴が空いており、交換する必要が生じていた。また窯業系サイディングは表面の塗膜が劣 ..
 
大菅 力
フリーランス

1967年東京生まれ。早稲田大学第二文学部中退後、木材業界雑誌の出版社を経て1994年株式会社建築知識(現 株式会社エクスナレッジ)入社。月刊「建築知識」、季刊「iA」などの建築、インテリア専門誌の編集長を務める。2010年退社。 現在フリーランスとして、季刊「リノベーションジャーナル」(新建新聞社刊)の編集長を務める。主な著作に「リフォーム 見積り+工事管理マニュアル」(建築資料研究社)、「世界で一番やさしい仕上材(内装編)」(エクスナレッジ)、「心地よい住まいの間取りがわかる本」(エクスナレッジ)などがある。

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