事例に即して耐震改修のセオリーをお伝えしてきたこのレポート。今回と最終回となる次回は施工上のポイントについてお伝えする。今回は基礎工事について見ていく前回お伝えしたように、この事例は過去に何度も増築を重ねていたことから、2階の外壁が載る通りの基礎がなく、軸力が受けられず床が6㎝程度下がっていた。その通りに新たに基礎を増設し、軸力を受けられるようにするとともに、新設する基礎と直行する既存基礎と一体化して、基礎が開かないような設計にした。併せて湿気対策として防湿コンクリートを前面に打った。■鉄筋工事を現場で指導この現場で施工を担当した基礎屋は経験が浅く、新築の木造住宅の基礎を中心に手掛けていた。昨今のハウスメーカーやパワービルダーの現場では、鉄筋工事の合理化が進み、ユニット化された溶接鉄筋が用いられることが増えてきている。この基礎屋も日常の仕事は溶接鉄筋を用いることが多く、設計図書に従って鉄筋を加工して取り付ける仕事には不慣れだった。そのためフックや結束のセオリー、定着長さや重ね継ぎ手の仕様など、鉄筋工事に基礎知識に欠けている部分があった。そこで小林氏は現場に足を運び、図面をもとに職人たちに直接組み方を指導した。「基礎工事では配筋が最も重要だ。耐震改修に不慣れな施工者の場合、直接指導するようにしている」と小林氏は話す。特に耐震改修における基礎工事は、既存基礎の現況に合わせてアレンジする必要が生じる場合があり、現場で施工者と打ち合わせる意味は大きい。施工時は夏場であったので、コンクリート打設後の養生に気を使い、設計通りの強度が出るように気を遣った。具体的な施工の概要については、下記の写真を参照してほしい。基礎工事を行う前の床下の様子。防湿コンクリートがなく地面が露出していた防湿フィル ..
この続きはA-PLUGに会員登録して
読むことができます!
A-PLUGは工務店様・リフォーム店様などの
建築関係プロユーザー対象の会員制サイトです。