引き続き設備編ではありますが、今回は換気システムで運ばれる空気の性質についてのお話です。いつもながら、「省エネのキホン」的な視点からの考察をお伝えしていく所存です。■なぜ、現場で設計通りの風量が出ないのか?それは空気にも粘性(ねんせい)があるからです。いきなりこう書きますと、「空気の粘性」……「粘り気(ねばりけ)」って何?となりますよね(笑)。しかし日頃、意識されないであろう空気の性質が意外に重要な項目でもあるのです。住宅の24時間換気システムは、住まわれる家族の健康と建物の耐久性を維持するための生命線です。しかし、どれだけ高性能な換気扇(ファン)を選定、換気設計しても、いざ現場で測定すると「設計通りの風量が出ていない」という事例が後を絶ちません。その原因の多くは、今までにもお伝えしてきました、空気がダクトを通過する際に発生する「圧力損失(空気の通りにくさ)」の発生にあります。私たちは普段、空気の存在をほとんど意識せずに暮らしています。窓を開けたり扇風機を付けたりすれば簡単に動くため、空気はサラサラとした抵抗のないものだと思いがちです。しかし、空気は決して「摩擦ゼロ」の理想的な気体ではありません。実は、条件によっては水やオイルと同じような、わずかながらも「粘り気(粘性)」を持っていると言えるのです。そこで今回は、この空気の「粘性」が、ダクトや外壁通気層といった「狭い空間」でどのように働き、換気風量に影響するのか、そのメカニズムを取り上げます。1. 開放された空間と「狭いダクト」の違い 太めのストローで息を吹き出すときと、細いストローで息を吹き出すときの違いを想像してみてください。細いストローで同じ風量を吹くには、より強い力(肺活量)が必要です。空気が開放的な空間を流れるとき、周 ..
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一般社団法人 みんなの住宅研究所 代表理事/株式会社 M's構造設計所属。一級建築士、CASBEE戸建評価員、BISほか。1966年奈良県生まれ。1990年摂南大学工学部建築学科卒業。関西商圏のビルダーに27年勤務し、主に2x4工法(枠組壁工法)の戸建住宅設計に携わる。2013年にドイツのフライブルクをはじめとした各地の研究機関・企業等をツアー視察した後、ATC輸入住宅促進センター(大阪市)主催の省エネ住宅セミナーにて、企画のアドバイスやパネルディスカッションのコーディネーターとして複数参加。2018年にM’s構造設計に参加、「構造塾」講師や「省エネ塾」の主催、個別コンサルタント等を行っている。