高断熱住宅が健康維持・増進に寄与するという科学的エビデンスが相次いで発表された。
(一社)日本サステナブル建築協会は「住宅の断熱化と居住者の健康への影響に関する全国調査 第10回報告会」を開催し、改修から5年後の調査に基づく分析速報を明らかにした。住宅内の室温による長期的な血圧変動の影響について、室温の時間変動が大きい、つまり断熱性が低い住宅の居住者は「5年間で新規の高血圧の通院が発生」、「5年間の最高血圧の上昇幅が大きい」ことから、「長期的な血圧コントロールには室温の安定化が重要」と結論付けた。
また、冬期の温熱環境が5年後の痛みの発生に及ぼす影響の検証では、改修後の室温が温暖な場合に比べて、室温が寒冷の場合は痛みの有症率が66%高い。その他疾病についても、改修後の室温が温暖な場合に比べ、やや寒冷だと5年後の入眠困難の有症率が68%高いことなども明らかになった。さらに冬期の住宅内温熱環境と骨粗鬆症発症との関連性を検証し、特に50歳以上の女性において寒冷曝露と骨粗鬆症発症とのリスク関連が明確であることも分かった。
一方、住環境研究所とみずほリサーチ&テクノロジーズは、高断熱住宅が脳血管系疾患による健康損失期間を17%削減する可能性を確認した。「断熱等性能等級5、6、7相当(高断熱)」の住宅と「断熱等性能等級3相当(低断熱)」の住宅に住んだ場合、病気や障害によって健康な生活を送ることができない年数を数値化した「DALY(障害調整生存年数)」を比較・分析。25歳以上の脳血管系疾患(脳梗塞・脳出血など)について、「断熱等性能等級3相当」と「断熱等性能等級6相当」を比較したところDALYは17%削減される可能性があると推計された。また、断熱性能が高くなるほど削減効果が大きくなる可能性があることも確認した。
また、パナソニック ホームズと慶應義塾大学 伊香賀俊治名誉教授・川久保俊准教授らは、室内温熱環境が子どもの活動量に与える影響について共同で実証研究を行った。断熱性能が同水準(断熱等級5・6)の戸建住宅に住む4~12歳の子ども26人を対象に、腰部装着型加速度計を装着し活動強度(METs)を測定したもの。あわせて夏季・冬季の室内温度・湿度を10分間隔で測定し、居室・非居室の温熱環境と活動量の関係も分析した。その結果、冬期でも室温が高いほど子どもの活動量が増加し、非居室(脱衣所など)を含む住宅全体の温度差が少なく温熱環境が良好な場合は、冬期と夏期の活動量における季節差が小さいことが明らかになった。
DALYの比較・分析結果
出典:住環境研究所
2026/06/09 09:58 - No.1533
高断熱住宅が健康維持・増進に貢献 室内温熱環境と高血圧、骨粗鬆との関係も明らかに
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