一般社団法人住まい文化研究会 代表理事 石川新治氏による、地域工務店が売れるための住宅デザイン・テクニック!"家づくりのプロ" の皆様のためのメディア『A-PLUG』掲載。地域工務店の経営を観点にして住宅デザインを考え、工務店にもできるテクニックとして住宅デザインを語ろうとするのは、とても難しいものです。
連載5回目となる今回は、「住宅デザインのセンスとは」というテーマでお送りします。
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◆住宅デザインへの疑問
駆け足で住宅デザインの様式の概要を書いてきましたが、このテーマの中では、あくまでも売れる住宅デザインを考えることです。そのテーマを、忘れてはいけません。
もちろん、私の知っている工務店さんの中には、ドイツの建築様式を忠実に再現して事業化している社長さんがいます。森に囲まれた立地に静謐に建つ実例写真を眺めると圧巻で、しっかり都市圏からの高級層の顧客を獲得しています。
その意味ではデザインへのこだわりは客層を獲得し、売れるきっかけになります。
Google@2019
でも、様式を全面に出せば、住宅デザインが簡単に達成できるとも思えません。
また逆に、デザイナーズ住宅と呼ばれる家々の設計が、しっかり様式からのデザインを学んでから手掛けているとは思えません。
具体的な、住宅のデザイン・テクニックを書く前に、もう少し書いておくことがあります。それは、デザインを生み出しているデザイン・センスというものへの疑問と、デザインを進める上で、普通に使われているデザインに関するキーワードへの疑問です。
良い住宅デザインを求めるのには、間違いなくデザイン・センスが要るはずです。そのデザイン・センスとは、果たして研究し、習得できるものなのでしょうか?
工務店が実業を進めながら、売れるデザインを真剣に考えるのであれば、この2つの疑問についても、しっかり検証しておく必要があると思います。
◆シンプル・イズ・ベスト?
住宅に限った話ではなく、「シンプル・イズ・ベスト」という言葉はデザインの世界ではよく聞く言葉です。ただ、私はこのキーワードに大きな疑問を持っています。
おそらく、これから先のデザイン・テクニックを語る中でも、シンプルにすることは何度も出てくるでしょう。しかし、それは本当にベストなのでしょうか。
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