住宅デザインを語ろうとするのは、とても難しいものです。その難題の住宅デザインについて、書いてみたいと思いました。できれば住宅の担い手である地域工務店の経営を観点にして住宅デザインを考え、工務店にもできるテクニックとしてまとめてみたいと思います。
連載6回目となる今回は、「住宅デザインを決める要素」というテーマ(前編)をお送りします。
※前回記事はこちら(前回テーマ:住宅デザインのセンスとは)
◆デザインの構成要素
工務店が売れるためのデザインについて、これまで5回に分けて概論を書いてきました。住宅デザインといっても、どのようなデザインを目指すかという点で、とても大事なポイントです。
限られた地域に働く工務店にとっては、世の中の誰かに知ってもらうのではなく、地域の中で頼りにされることが売れることにつながります。『論語』泰伯編の『由らしむべし、知らしむべからず』を異訳したくなるような話であり、とにかく目を引く、話題になるデザインを目指しているのではありません。
住宅デザイナーとしての知名は要らず、新しい住宅デザインを生み出そうとしているのでもありません。今、目の前に建てようとしているお客様の家のデザインの質を上げることが何よりも大切です。
それだけに、学習すれば習得できるデザイン・テクニックであるとしてきました。
音楽を聴く時には、楽譜が読めなくても、楽器が弾けなくても、流れの中で不快を覚える異和音を感じるように、目で見るデザインにも不快感があるはずです。
デザインのセンスを磨くためには、ちょっと批判的に見て、感じたことを、少しずつ改善してゆくことを続ければ良いとしてきました。
でも、単に眺めるだけでは進みません。そこで、デザインを構成する要素を分けておくと、批判的に見るポイントを整理することができるようになります。
デザインを鍛える、最初のテクニックはデザインの構成要素を知ることです。
デザインの構成要素は、次の10に分けることができます。
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