本連載では、住まいの新築やリフォームを検討されるお客様に対する事前の情報提供不足や、お客様の期待値とのズレによって、信頼を損ねてしまわれることを防ぐために、YKK APお客様相談室が、お客様や家づくりに関わる皆様から寄せられた問い合せ内容をもとに、ぜひお伝えしておきたいポイントをご紹介します。
例年にない速さで梅雨明けが進み、暑さがこたえる時期になりました。一方で、住まいにおけるコロナ感染対策や、節電対応も求められているため、冷房と自然の風による換気・通風を上手に組み合せて使い分けて過ごす必要がありそうです。
そこで連載第3回では、そんな夏に欠かせない「網戸」を取り上げました。網戸を選択する際のポイント、よくある誤解と解決方法、正しいメンテナンスについて詳しく見ていきましょう 。
◆網戸を選ぶポイント
普段何気なく使用している「網戸」ですが、窓からの虫の侵入を防ぎ、心地よい風を取り込んでくれる 、住宅に欠かせない要素の1つです。
YKK APお客様相談室宛には、窓と網戸の組み合わせのご質問や、「そもそも網戸に選択肢があることを知らなかった(聞いてなかった)」といったご意見もいただきますので、 選び方には注意が必要です。
はじめに、網戸の仕様や種類から触れていきます。
開き方の種類と特長
網戸には様々な開き方・収納方法や、ネットの種類があり、窓と網戸の組み合わせにも、色々なパターンがあります。複数の網戸種類から選択が可能な窓種もありますが、建築会社様によっては「この窓にはこの網戸が標準」と決められているケースもあり、入居後生活してみてから、網戸のリフォームについてご相談をいただくことも多いです。
お客様のご検討時(建築会社様のご提案時)に知っておくと便利な、網戸の基本の種類や開き方から見ていきます。
①スライド網戸
引違い窓に採用される、最もシンプルな横にスライドする網戸。
スライド網戸
・スライド網戸 XMH
https://www.ykkap.co.jp/business/products/window/xmh
②横引きロール網戸
収納式の網戸で、くるくると横方向でロール状に収納できます。
網戸を使用しない時は 隠れているため視界がスッキリし、ネットが汚れにくく、メンテナンス性が良いのが特長。
窓に対応するタイプから、玄関ドア・引戸に対応するタイプもあります。
横引きロール網戸
・横引きロール網戸 XMY
https://www.ykkap.co.jp/consumer/products/window/xmy
・横引きロール網戸 フラットタイプ XMD
https://www.ykkap.co.jp/consumer/products/door/xmd
③上げ下げロール網戸
横引きロール網戸と同様に収納式で、縦方向でロール状に収納。
YKK APでは、ループレス仕様を採用しており、一本ひもで安全に操作できます。
上げ下げロール網戸
・上げ下げロール網戸 XMW
https://www.ykkap.co.jp/business/products/window/xmw
④固定網戸
その名の通り、操作や収納しない固定の網戸。掃除の時には網戸を外すこともできます。
固定網戸
⑤横引き収納網戸
ネットが蛇腹式で、すっきり収納された状態から、必要な時はサッと引き出せます。
片引きと両引きがあり、玄関ドア・引戸や全開放折りたたみ窓「ワイドオープン」などに使用します。
横引き収納網戸(片引きタイプ)
・横引き収納網戸 フラットタイプ XMA
https://www.ykkap.co.jp/consumer/products/door/xma
⑥中折網戸
内側に二つに折りたたむタイプの網戸で、玄関ドアや引戸におすすめ。
中折網戸
・中折網戸 NHM型[ドア用・玄関引戸用]
https://www.ykkap.co.jp/products/door/screen/nhm
その他にも、「内開き網戸」や「上下スライド網戸」などがあります。
YKK APの窓シリーズ・窓種ごとの設定網戸は、以下リンク先の資料や、各窓シリーズカタログの規格表などでご確認ください。
なお、窓種やハンドルなどの仕様、或いは窓の大きさにより、選べる網戸に違いがありますので注意が必要です。
https://webcatalog.ykkap.co.jp/iportal/CatalogViewInterfaceStartUpAction.do
今取り入れるべき!「クリアネット」
YKK APの網戸ネットには、種類があることをご存知でしょうか。
通常の「ブラックネット」と、より網目が細かく高性能な「クリアネット」の2つがあり、採用時に選択できます。
新築時や張り替えの際に「クリアネット」を選ぶことで、快適な室内環境が手に入ります。
※「クリアネット」に対応していない網戸もありますので、ご注意ください。
「クリアネット」の特長:
「クリアネット」は、「ブラックネット」と比較すると以下の特長があります。
・糸のスリム化で通風量が増え、ネットが視界を妨げない
・網の交差部を融着する技術により、表面の凹凸が少なくほこりが入りにくいので、清掃性がよい
・ネットの網目が細かく、虫の侵入をより防げる
・クリアネットの詳細(ブラックネットとクリアネットとの性能比較動画含む)https://www.ykkap.co.jp/consumer/products/window/clearnet
「クリアネット」の注意点:
・視認性が良いため、網戸の存在に気づかずに衝突することをご心配する声もあります。
網戸への衝突を防止するための目印が必要な場合は、「衝突防止サインプレート」を貼付けすることをご検討ください。
・クリアネットに対応していない網戸もあります。
・パネル系網戸かロール系網戸かで、クリアネットの仕様(ネットの素材、メッシュ、線経など)が異なり、通風量なども異なります。
・(FAQ)網戸への衝突を防止するための部品(衝突防止サインプレート)
https://faq.ykkap.co.jp/faq_detail.html?id=8538
・(FAQ)クリアネットと通常の網戸の違い
https://faq.ykkap.co.jp/faq_detail.html?id=8258
その他用途に応じた関連商品
①便利!網戸を内蔵した通風ドア(玄関・勝手口)
扉に内蔵された通風機構を開けることで、ドアを施錠したまま通風でき、防犯性にも配慮された通風ドアは、これからのスタンダードにしていただきたい商品です。家全体の快適につながる、網戸の選択肢の1つとしてご提案ください。
左:断熱玄関ドア ヴェナートD30 通風ドア 右:エピソードII NEO 勝手口 通風ドア
・通風ドア
https://www.ykkap.co.jp/consumer/satellite/useful/tsufu-door/
②高強度のステンレスネット
ビルなどの大型施設への採用が中心の高強度のネット。メンテナンス性に優れ、破れにくく頑丈なので、ペット対策として一般のお客様が検討されることもあります。
※使用できる網戸種類が限られますので、ご注意ください。
ステンレスネット
③園舎施設向けのパンチングパネル付可動網戸
網戸下部の室内側に通風性とデザイン性を考慮した強度が強いパネルを設けた商品で、網戸の役割を果たしながら安全性を高め、ネットが破れにくい構造です。
※非木造ビル用サッシに対応した商品ですので、ご注意ください。
・園舎施設向けのパンチングパネル付可動網戸「WS10E型 パネルスクリーン」
https://www.ykkap.co.jp/company/info/news/20190823_2
◆網戸に関するよくある誤解やお問い合せ
網戸の開き方や種類により、誤解されやすいことやよくお問い合せをいただくことがあります。
ぜひこの機会にご確認いただければと思います。
スライド網戸の正しい使い方
引違い窓とスライド網戸の位置関係(イラストは窓を上から見た断面)
・ 網戸の虫の侵入を減らす使い方(網戸の教科書)
https://www.ykkap.co.jp/consumer/satellite/articles/products/amido_textbook/knowledge01.php
網戸は窓を開けた時に使用
「窓を開けないと、網戸が閉められない」というお問い合せをよくいただきます。
横引きロール網戸・上げ下げロール網戸を使用する開き系の窓(たてすべり出し窓、すべり出し窓)の場合は、窓を開けてからでないと、ハンドルと網戸が干渉してしまい網戸を引き出すことができませんので、窓を開けてから網戸を閉じるようにして下さい。
わずかな時間ではありますが、窓を開けて網戸を引き出す操作の間(網戸を収納し窓を閉める操作の間)に「虫が入ってしまう」というご意見をいただくこともありますので、お客様が気にされる場合は、「オペレーターハンドル仕様」のすべり出し系の窓とし、固定網戸と組み合わせることをおすすめします。
・開け閉めを安全に「オペレーターハンドル」
https://www.ykkap.co.jp/consumer/satellite/useful/operator-handle/
ボールチェーン式操作ひもの使用には注意を
旧タイプの上げ下げロール網戸は、ボールチェーン式のひもで操作するため、小さなお子さまがおられるご家庭では、体に巻き付く・引っかかるなどの事故への心配をお持ちと思います。その場合は、専用のクリップでチェーンを束ねて使用いただく方法か、安全なループレス仕様への変更をご提案ください。(網戸本体の交換が必要になりますので、商流を通じてご相談ください。)
・操作ひも(ボールチェーン)用クリップ(「Parts SHOP」で購入可能)
https://parts.ykkap.co.jp/shop/goods/search.aspx?keyword=2K39087&search.x=92&search.y=38
・(FAQ)ループレス仕様への変更について
https://faq.ykkap.co.jp/faq_detail.html?id=8439
◆網戸のメンテナンスや安全な使用について
網戸の掃除について
家の内外に接している網戸は、室外からの泥砂や排ガス、室内からのホコリや油煙により、汚れやすい部位です。放っておくと、ネットが目詰まりを起こして眺望や通風にも影響があるので、こまめな掃除を心がけたいところです。
普段は、網戸を窓につけたまま軽くほこり払いをしていただき、時には、網戸を取りはずして水洗いをおすすめします。
・ネット部分のお手入れ方法
https://www.ykkap.co.jp/consumer/support/maintenance/1927
・網戸掃除の豆知識(網戸の教科書)
https://www.ykkap.co.jp/consumer/satellite/articles/products/amido_textbook/knowledge02.php
網戸の張り替えについて
「破れたから張り直さないと…」そう思って初めて気づく、張り替えのギモン。
一般的なスライド網戸、且つブラックネットであれば、YKK APの部品オンラインショップ「Parts SHOP」で必要な分だけ購入し、お客様ご自身やプロユーザーの皆様で張り替えることが可能です。
網戸張替え部品(①網戸ネット、②網戸ロープ、③網張りローラー)
・網戸張替え部品(YKK AP部品オンラインショップ「Parts SHOP」)
https://parts.ykkap.co.jp/shop/c/c1613/
一方、「クリアネット」への張り替えは、商流を通じたご相談をお願いしております。ネットの線形が細く、ネット交差部分が融着されているため、ブラックネットと同じ張り方では、シワ、巻き込みが発生しやすいため、張り替えにコツが必要です。
プロユーザー様によっては、アフターサービスの一環として自社で張り替え作業をされ、お客様に喜んでいただけるケースもあるようです。そんなプロユーザー様向けには、クリアネットへの張り替え方法やコツをYKK AP CHANNELにて動画 公開しています。
ただし、ロール状などの収納式網戸は製造工場で引き取っての交換となりますので、ご注意ください。
・クリアネット/張替要領(シングルローラー)|施工
https://www.ykkap.co.jp/consumer/satellite/ykkap_channel/player.php?c=C04&sc=C04-03&mid=52
・クリアネット/張替要領(ダブルローラー)|施工
https://www.ykkap.co.jp/consumer/satellite/ykkap_channel/player.php?c=C04&sc=C04-03&mid=507
網戸の取りはずし方と「はずれ止め」の注意
スライド網戸について、「掃除・ネット張り替え・部品交換をしたいが、はずし方が分からない」「台風前なのではずれないようにしたい」といったお問い合せを多くいただきます。網戸の種類によって詳細方法は異なりますが、「はずれ止め」を解除する必要があります。
・網戸を取りはずしてお手入れする
https://www.ykkap.co.jp/consumer/support/maintenance/1871
はずれ止めのイメージ(スライド網戸の場合)
取り付けた直した後は、強風などで網戸が脱落、落下するのを防ぐため、必ず「はずれ止め」をセットし直すように、お願いいたします。
・網戸についてのお願い
https://www.ykkap.co.jp/consumer/support/safety/amido/
また、戸車や部品の交換などが必要な場合、網戸の内観右上の商品ラベルをご確認いただくようご案内しております。
・(FAQ)スライド網戸の商品や部品の特定方法
https://faq.ykkap.co.jp/faq_detail.html?id=8464
◆まとめ
今回は、網戸の種類や特長とよくある誤解や問い合せ、また使用後のメンテナンスについてご紹介しました。
「心地よい風を家の中に取りこみたい」、「換気をこまめに行いたい」など、お客様のニーズを満たす暮らしのご提案の一助になれば幸いです。
次回は、台風に関連したよくあるお問い合せを取り上げます。
▼当連載の他の回はこちら▼
お客様に伝えておきたい! 見逃しがちな家づくりのギモン(窓・ドア関連)
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