デザイン・快適性・省エネ性能と同時に「構造安全性」はとても重要です。
全国で「構造塾」を展開する株式会社 M's構造設計の佐藤実氏より分かりやすく木構造の大切さと重要ポイントを解説していただきます。
今回は「四号特例見直しについて(その3)」です。(前回記事はこちら)
◆省エネ性能向上による建築物重量増に対する対応
四号特例見直しと同時に議論されているのが、小規模木造建築物の重量見直しによる耐震性能強化です。省エネ性能が向上することで、断熱材や高性能サッシなど、建築物の重量(固定荷重)が増加します。建築物重量増加により建築物に作用する地震力も増加するため、令46条壁量計算や品確法の耐震等級計算の壁量計算のように、予め固定荷重を想定された設計手法は、固定荷重が省エネ住宅で想定される固定荷重より軽量なため、省エネ住宅では耐震性能不足になる可能性が大きくなります。
出典:国土交通省「今後の住宅・建築物の省エネルギー対策のあり方(第三次答申)及び建築基準制度のあり方(第四次答申)について」 (https://www.mlit.go.jp/report/press/content/001487807.pdf)出典:国土交通省「今後の住宅・建築物の省エネルギー対策のあり方(第三次答申)及び建築基準制度のあり方(第四次答申)について」 (https://www.mlit.go.jp/report/press/content/001487807.pdf)
国交省の資料では、ZEH住宅は建物重量が約1.4倍増加し、地震力も1.4倍と想定しています。逆算すると(1/1.4≒0.7)、ZEH住宅は、耐震性能が本来の耐震性能の70%程度となります。
このあたり、構造安全性検討方法と耐震性能の比較で見ると、面白いことが見えてきます。
品確法の耐震等級は、建築基準法の耐震性能を耐震等級1、基準法の1.25倍の耐震性能を耐震等級2、基準法の1.5倍の耐震性能を耐震等級3としています。しかし、品確法の耐震等級を逆算すると、
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