◆暮らし創造研究会が研究成果
◆足元を暖めれば高血圧、活動量減、アトピーのリスクを軽減
(一社)ガス協会などで構成される「暮らし創造研究会」が、慶應義塾大学の伊香賀研究室と共同で行った足元の暖かさが健康に与える影響についての研究成果をまとめた。
足元の暖かさが健康に良い影響を与えることが古くから指摘されてきたが、この研究では、温水式床暖房とエアコンの利用者それぞれ80人程度を対象に血圧や活動量など健康に係る項目でデータ測定を行った。
血圧については、足元が暖かいと高血圧になりにくいことが明らかになった。被験者のうち高血圧で通院している人の割合は、居間の床付近の室温が14℃未満の人に比べて、17℃以上21℃未満の人は40%、21℃以上の人は50%低かった。つまり、床の温度が21℃で高血圧のリスクが半減するということだ。
また、床が暖かいと活動量も増える。床暖房利用者はエアコン利用者より、座り続ける時房利用者はエアコン利用者より、座り続ける時間が一日当たり約32分短いことが分かった。家の中で座っている時間が長いと活動量が落ち、足腰の衰えにつながる。特に高齢者は足腰の衰えにつながり、 転んでけがをしたり、寝たきりになるリスクが高まる。また、成人の座りすぎは総死亡率や心血管系疾患、がんによる死亡率の上昇など悪影響を及ぼすことをWHOが指摘しており、座る時間を減らすことは全世代共通の推奨事項とされている。
一方で、子どものさまざまな疾病リスクについても好影響を与えることが確認された。例えば、アトピー性皮膚炎である割合は床暖房使用住宅の子どもの方が、エアコン使用よりも60%低い。床暖房の方がホコリが舞いにくく、アレルゲンが抑制されたようだ。また、中耳炎のリスクも低減できそうだ。中耳炎である割合は床暖房使用住宅の方がエアコン使用より50%低い。原因となるウイルスや細菌が好む乾燥した環境になりにくいためと推察される。
暮らし創造研究会は、こうした成果を広く普及させていく考え。研究内容をまとめたリーフレットを作成し、事業者に対する訴求を進めている。
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YKK AP 株式会社 発行「メディアレポート 2022.04」
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