引き続き「外皮」をテーマとして「省エネのキホン」的考察を進めます。今回も「住宅の気密性能」に関する内容です。(前回記事はこちら)
毎度のことですが、まずはおさらいから。
連載の第19回で、「2021年現在に改めて気密性能の必要性をアナウンスするとしたら」ということで、過去の省エネ基準でも挙げられていた4項目に「省エネのキホン」的2項目を加えたのが下記の6項目です。
1.「漏気(隙間風)を防止して暖冷房負荷の低減、省エネ性、快適性の向上」
2.「断熱材の性能低下の防止、省エネ性、快適性の向上」
3.「繊維系断熱材採用の場合の室内側気密化による防湿効果で壁内結露を防止、耐久性の向上」
4.「計画換気が成立するための出入り口の明瞭化と必要風量を確保し、健康性、省エネ性を向上」
5.「現場測定による数値化で1棟毎の施工精度を証明」
6.「購入者が依頼業者を選ぶ際の住宅性能における重要な指標」
今回は、この中から3.を取り上げます。
建物の気密性が低いとなぜ、壁内結露につながり、耐久性の低下につながるのか?
それは結露が起きるメカニズムと大いに関係があります。
結露とは、水分子である水蒸気が水になることです。
であれば、水蒸気をコントロールすればよいのでは?と考えるのが、普通ですよね。
ということで、まずは水蒸気を知ることから進めましょう!
■まずは「水蒸気」の性質から
私たちの身の周りには水蒸気があふれています。
冬場は日常生活で発生するのに対して外部が乾燥していますので室内側が多く、夏場は梅雨の時期を中心に室外側が多くなる傾向があります。
その水蒸気量と温度によって室内の「湿度」が決まり、温度と同様に私たちの健康・快適性を左右する大きな要素となりますが、温度計等によって測る温度と同様に、湿度計で測らないと目に見えません。
それは「水」という物質の特殊な性質によります。
水は、日常的な範囲の温度・気圧によって、氷(固体)~水(液体)~水蒸気(気体)と姿を変えますが、それはそのまま最小単位である水分子(H2O)の結び付き具合いの違いです。
温度が高くなるほど(分子が持つ熱エネルギーが増えるほど)、水分子の動きが活発になり、沸騰・蒸発という形で気化した時点で、水分子単体の「水蒸気」として空気中に拡散していきます。
問題は、その「大きさ」です!
お湯が沸いている状態で勢いよく噴き出している白い煙、いわゆる「湯気(ゆげ)」が水蒸気だと誤解されていることも多いのですが、
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