リフォーム産業新聞の編集長、金子裕介です。今回から、リフォーム業界のトレンドに書いていきたいと思います。
テーマは「異業種参入」です。
ここ数年間、住宅事業を主としない異分野の企業の参入が増えてきており、メイン事業者であるリフォーム専門会社や工務店の脅威になってきています。
家電量販店がリフォームを売る時代
中でも今勢いづいているのが家電量販店勢だ。最もリフォーム売上高が大きいのはエディオンで、2018年度は482億円も稼ぎ出している。
この規模がどれだけ大きいか。建築業をされている皆さんならおわかりだろう。あえてそのすごさを表現するとすれば、本紙では毎年調査している「住宅リフォーム売上ランキング」というデータがあるのだが、エディオンは全国で9番目にリフォーム売上が大きいのだ。
大手ハウスメーカーや不動産会社に交ざって、上位にランク。昨年9月の調査では、あの三井不動産グループを追い抜くという快挙を達成し、じわじわと大手住宅会社さえも脅かす存在になりつつある。
なぜエディオンは強いのか?
なぜこれだけの売上を上げられるのか。1つは304店舗という、全国1位のリフォーム窓口を持つ点。ほとんど知られていないことだが、エディオンという企業は、実は国内最大のリフォーム拠点を持つ会社なのだ。窓口が多ければ、それだけ集客に繋がる。ちなみにリフォーム拠点が多い企業の第2位はミサワホームグループで175店舗となっている。
もちろん、拠点が豊富で、営業担当がたくさんいるだけではリフォーム売上は伸ばせない。二つ目の強みは、工事費込みのわかりやすい価格表記をした住宅・設備建材の展示だ。
主たる店舗には、最新のキッチン、バス、トイレ、コンロなど水回り商品、オール電化商品がずらりと並べられている。メーカーショールームに比べて圧倒的に敷居の低い売り場作りと、工事費用が表示されている明朗会計は、消費者の信用を得やすい。
最新の住設が見られる場
実は最新の住宅設備はなかなか日常的に目に触れることはない。見学したいとなったら、メーカーショールームやリフォーム会社の店に行かなければならないためだ。
だが、「気軽に」という気持ちではその敷居をまたげないのが消費者。エディオンは住設を「敷居の低い場」に引っ張り出し、家電商品と同様にわかりやすい価格で売り出したこと、当たり前と言えば当たり前のようだが、意外とこのような形でリフォームを売る会社は多くはなかった。
エディオンはさらなる事業拡大に向けて商材を拡充。最近熱心なのは「塗装」のリフォームだ。外壁塗装を希望するユーザーに塗料と施工をセットで提供する。もはや家電屋の枠を飛び越えた戦略で、これもまた多くの問い合わせにつながっており受注は右肩上がりだ。
先日ある塗装リフォーム店に取材に行ったら、最近は塗装店よりも、エディオンやヤマダ電機などと相見積もりになるケースが増えたと話す。「信用力では負けるが、提案力では負けない」とその経営者は語っていたが、少しずつ地域のリフォーム会社との競争が増えてきているように感じる。大資本の大手とは違う戦略、戦術が地域のリフォーム事業者には求められている。
エディオンの売り場。最新の設備が展示され、値段も明瞭に。
このような売り場を全国各地の店舗に持つ。
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