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2021/05/18 09:31 - No.1047


第7回 壊して知る耐震性能 その1


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動画でわかる!木造住宅の耐震性能
中川 貴文

2021/05/18 09:31 - No.1047

 

消費者への説明が難しい「耐震性能」を分かりやすくプレゼンできるwallstatは住宅会社、設計事務所、建材メーカー等で実務への導入が進んでいます。本テーマでは、wallstatを用いた耐震シミュレーション動画を使って木造住宅の耐震性能をわかりやすく解説していきます。(前回記事はこちら




【地震力は慣性力】

地震による力は建物には横方向に押す力(水平力)として作用します。物理の用語で「慣性力」とも呼ばれますが、重い物体ほど慣性力が大きくなるため、同じ地震動でも重い建物の方が地震による水平力は大きくなります。

地震力は地面が揺れて建物を横に揺らす力です。次の耐震シミュレーションの動画では、地面が揺れる様子と建物が揺れる様子の両方を見ることができます。



この動画は地面から宙に浮いた状態で撮影した(宇宙人から見た視点の)映像とも言えます。

それに対して、次の動画は地面の上に乗った視点で作成した耐震シミュレーションの動画です。



地面が静止して建物だけが揺れているように見えます。この状態は現実世界の建物の中の視点や、建物の近くにいる人の視点(我々、地球人の視点)とも言えます。

建物は後の動画の方がより大きく揺れているように見えます。この変形は物理の用語では「慣性力による地面に対する相対変形」と言えます。耐震設計では地面を静止させた慣性力(建物に横方向に押す力)と、それによる変形(相対変形)に対して壊れないように設計を行うことになります。

慣性力は普段あまり感じることができない力です。この力に対して設計するには想像力が必要になってきます。

早速ですが、実際に木造住宅にワイヤを連結して地面に立った人が横方向に引っ張ることを想像してみてください。外壁が少し動くくらいで、木造住宅の躯体はびくとも動かないことが想像できると思います。

人間の引っ張る力は力持ちの人でもせいぜい100kg超(≒1kN)くらいでしょうか。クレーンなど重機を使って引っ張ると変形させることもできます。

次の写真は実際にクレーンで木造住宅を引っ張った実験(引き倒し実験と呼ばれてます)です。このような実験はこれまでに数多く実施されています。


引き倒し実験の様子(左からクレーンでワイヤを引っ張っている)
 
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中川 貴文さん
京都大学生存圏研究所

2003年東京大学大学院修了後、民間企業を経て、2005年より国土交通省国土技術政策総合研究所及び建築研究所にて木造の耐震の研究に従事。2010年に「wallstat」の無償公開を開始。2018年より現職。2019年文部科学大臣表彰。博士(工学・農学)。

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