YKK AP株式会社が発行する建築業界情報誌「メディアレポート」の「トピックス」では、住宅業界の最新情報、市場の動向・トレンドをご紹介しています。
今回はメディアレポート 2024年6月号に掲載された「既存住宅流通量が過去最多を更新」をお届けします。
既存住宅流通量が過去最多を更新
流通比率も42.3%で過去最高に
2022年の全国における既存住宅流通量(暫定値)が過去最多となったことが、(一社)不動産流通経営協会の「FRK既存住宅流通推計量 地域別推計(令和4年)」で明らかになった。
この調査は、建物の売買による所有権移転登記戸数と住宅ストック割合を基に、全国ベースや都道府県ベースなどで既存住宅の流通量と流通比率を推計したもの。
2022年の暫定値を詳しく見ると、全国における既存住宅流通量は63万701件(前年比3.3%増)と着実に増加。コロナ禍前の2019年と比較しても4.4%増加しており、2004年の調査開始以来、過去最多を更新した。
また、新設住宅着工戸数を含めた住宅流通量に占める既存住宅の比率は、同0.7ポイント増の42.3%。17年から5年連続で上昇を続けており、こちらも過去最高を更新した。
都道府県別にみると、既存住宅流通推計量のトップは前年から変わらず東京都。前年比4,000件増の13.9万件で推移している。次いで多かったのが同4,000件増となった大阪府の6万3,000件。2020年、2021年と2年連続で2位だった神奈川県は、6万1,000件で前年から増減がなく3位に順位を落とした。4位以下は千葉県3万5,000件、埼玉県3万4,000件、兵庫県3万3,000件、北海道・愛知県・福岡県がそれぞれ2万7,000件と続く。関東圏および大都市の流通量が多いことが分かる。
一方、既存住宅流通比率については京都府が同2.1ポイント増の51.8%で、2019年以来3年ぶりにトップとなった。2位は兵庫県の51.7%(同0.5ポイント減)、3位は東京都の50.9%(0.8ポイント増)となっており、50%を超えたのはこの3都府県のみだった。以下、50%には届かなかったものの、奈良県48.2%、北海道47.9%、神奈川県および大阪府47.5%なども全国ベースより高い比率を記録した。こちらも比較的人口が多い都市部を中心に数値が高い傾向にある。
なお、最も比率が低かったのは24.5%の福井県。次点で低い熊本県の29.1%と比較しても4.6ポイント差となっており、ストック活用が進んでいない実態が浮き彫りとなった。
そのほか、東京23区の流通量推計は同4.3%増の11万8,725件。単独区で最も多かったのは8,320件の大田区だった。流通比率も伸長し、同1.4ポイント増の53.1%となった。特に、港区は79.9%と同21.4%の大幅な増加がみられた。
メディアレポート 2024年6月号
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