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2023/09/29 08:00 - No.1333


第25回 「区分所有法」はどう変わるのか? 改正試案のポイントを解説!(3)


知らないと損する!マンション管理組合の現場レポート
村上 智史

2023/09/29 08:00 - No.1333

 


はじめに

当連載記事では、管理組合を対象とする「コンサルティング」や「顧問業務」などを生業にしている "マンション管理士としての経験とノウハウ" をもとに、昨今の業界の動向などをテーマに取り上げ、『マンション管理に携わる皆様に役立つ情報』を提供していきたいと思います。



老朽化マンションの増加や居住者の高齢化等をふまえたマンション管理の円滑化及び再生の円滑化を図るとともに、大規模な災害により重大な被害を受けたマンションの再生の円滑化を図る等の観点から、2022年9月、法制審議会において法務大臣から区分所有法(建物の区分所有等に関する法律)の見直しについて諮問がなされ、区分所有法制部会(部会長 佐久間毅氏)が設置されました。

本部会は2022年10月から調査審議を開始しましたが、本年6月、第9回会議にて「区分所有法制の改正に関する中間試案」が取りまとめられ、今後本部会にてさらに検討を深めて成案を得るべく、法務省にてパブリックコメントを募集しています。(意見募集期間:2023年7月3日~9月3日)

【区分所有法制部会による中間試案の構成】

出典:法務省民事局作成資料 【区分所有法制の見直し】

今回は、過去2回(第23回第24回)に続いて、本部会が取り纏めた中間試案のうち「被災区分所有建物の再生の円滑化」の概要について解説します。


「被災区分所有建物の再生の円滑化」の概要

近年、地震や豪雨、竜巻などの災害が多発しており、今後大規模な災害の発生リスクが高まっていると言われています。

一方、2018年に実施した国土交通省の推計では、1981年以前に建築された旧耐震基準の共同住宅の戸数は、共同住宅ストック全体の約16%を占め、そのうち耐震性が不十分な共用住宅は約34%になっている。また、耐震性について問題がない建物であっても、その立地条件によっては津波などの地震以外の事由により大きな被害を受ける可能性は否定できません。

災害によって建物が大きな被害を受けた場合、その建物の内外の住民等に危険を及ぼすおそれもあり、その復旧・復興を迅速に図る必要性が高いにもかかわらず、被災した区分所有者が当該建物から離れた生活を強いられるなどの理由から迅速な合意形成が難しくなることも予想されます。

しかしながら、現行法では、政令で指定された災害により大規模一部滅失(建物の価格の2分の1超に相当する部分が滅失)した区分所有建物であっても、その建替えのためには、被災していない区分所有建物と同様に、区分所有者及び議決権の各【5分の4】以上の多数の賛成を得なければならないとされています。

【現行法における決議要件】

災害により大きな被害を蒙った建物の建替えや復旧・共用部分の変更を迅速に行うために、建替え決議のほか、原状復旧及び共用部の変更決議について、通常の場合よりも多数決要件を緩和することを以下の通り提案しています。

 
村上 智史
株式会社 マンション管理見直し本舗

株式会社 マンション管理見直し本舗 代表取締役社長 村上智史 東京都マンション管理士会所属 マンション管理士・中小企業診断士・宅地建物取引主任者 1964年京都府出身。早稲田大学商学部を卒業後、1987年4月三井不動産に入社。土地オーナーとの共同事業、ビル賃貸事業、Jリート(不動産投資信託)の立ち上げに従事したほか、投資顧問会社出向等を経て2013年3月退職し、同年4月より現職。

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