デザイン・快適性・省エネ性能と同時に「構造安全性」はとても重要です。
全国で「構造塾」を展開する株式会社 M's構造設計の佐藤実氏より分かりやすく木構造の大切さと重要ポイントを解説していただきます。
今回は「太陽光パネル設置による構造上の対応」です。(前回記事はこちら)
◆太陽光パネル設置は偏荷重設計が基本
ここ数回解説している「長期優良住宅の認定基準見直し」では、太陽光パネル設置を想定した壁量計算が提案されています。しかし、この計算では「偏荷重設計」が考慮されていません。
太陽光パネル設置においては、屋根の固定荷重増加だけでは安全な設計とは言い切れません。なぜなら、切妻屋根などでは、太陽光パネルが取付くのは南面で、太陽光パネル設置により建物「重心」位置は南側に寄ります。それに比べ、耐力壁の配置は北側が多くなる傾向があり、耐力壁の中心位置である「剛心」位置は北側に寄っています。以上より、太陽光パネル設置により重心と剛心位置は離れ「偏心率」が悪くなる可能性があるため、許容応力度計算においては、屋根の固定荷重設定と配置で、偏荷重を想定した設計が必要となります。
しかし、多くの構造設計者は偏荷重設計の重要性を理解せず、単に屋根の固定荷重を大きくすることで対応したつもりでいるようです。
偏荷重設計の重要性についてはYouTube「構造塾」チャンネルでも解説していますので、ぜひご覧ください。
2021構造塾#05 太陽光パネル間違った設計
https://www.youtube.com/watch?v=Ws3fs3HXBW0
◆偏荷重設計できない場合の簡易検討方法
太陽光パネルの屋根偏荷重設計は許容応力度計算しかできませんが、構造の基礎を理解していないと偏荷重にて計算していないことがあります。また、品確法や建築基準法の仕様規定(令46条壁量計算)では、偏荷重設計がそもそもできません。そこで、偏荷重設計できていなくても偏荷重を想定した簡易検討を考えてみました。
まず、壁の配置バランスの簡易法である四分割法の場合、チェック1として
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