今回は気流止めの製作や段取りなどについて解説する。一般に「気流止め=圧縮グラスウール」という認識が出来つつあるが、隙間を塞ぐための材料にはなにを用いて構わない。たとえばぱっと見て分かるような大きな隙間だと木片で塞ぐ場合もあるし、小さな隙間は気密テープやシーリングで塞ぐこともある。また補修用の現場発泡ウレタンも使用することも多い。
ただし、最も一般的な壁の上下の隙間は、かたちが不均一なので、やわらかい材質で復元性があるものが適している。そういう意味で、圧縮グラスウールが中心になるだろう。圧縮グラスウールは既製品もあるが、費用と手間のバランスからいうと、施工現場ごとに工務店がつくるのがよいだろう。
気流止めに用いる圧縮グラスウール
圧縮グラスウールを現場に搬入したところ
200~300枚の圧縮グラスウールが必要
圧縮グラスウールの製作は容易だ。すでに柱・間柱のピッチに合わせた425㎜×395㎜×140㎜厚の気流止め用のグラスウールが製品化されているので、これをポリエチレンフィルムの袋(家庭用のごみ袋)に入れて、掃除機を挿入し、グラスウールに当てて空気を抜いてぺたんこの状態にして、袋口を固く縛ればよい。現場に掃除機がなければ、袋に入れたグラスウールを平滑な面の上に置いて、手のひらや合板などでグラスウールを圧縮して空気を抜いてもよい。もちろん、余ったグラスウールを適切な寸法に切って気流止めを作成してもよい。
こうして製作した圧縮グラスウールを間柱や柱の間に差し込むように入れて、カッターで袋の上部をいるとグラスウールが復元し、隙間が埋まるという仕掛けだ。
多少の間崩れなどは同じ寸法の圧縮グラスウールを用いればよいが、小さめで変形の隙間などはグラスウールをカッターで切ったり、手でちぎったりしたものを詰め込んでいく。こうした箇所が多いと時間を要するので現場調査の際に確認しておく。
山善工務店によると1棟あたり200 ~ 300枚が必要になるという。それだけの量の圧縮グラスウールを製作するのは2~3日掛かる。現場に作業スペースがあれば現場で1人が製作しつつ、もう1人が気流止めの施工をするというような段取りでもよいが、同社のように敷地の狭い街中であれば、事前に圧縮グラスウールを製作しておいて、現場ではどんどん隙間に詰めていける状態にしておいたほうがよい。