今回は天井断熱の施工のポイントについてお伝えする。
天井の断熱施工は、既存の断熱材をそのまま生かすのが前提となる。断熱材を撤去すると、撤去の手間だけでなく処分費もかかる。断熱厚は関東であれば200㎜厚が目安になる。夏場の暑さ対策を重視する場合、あと50㎜増してもよいだろう。断熱材は裸のグラスウール16K100㎜を2枚敷き込んで200㎜断熱にするのが最も安価にできる。
天井に上がるには、点検口や押し入れ天袋の天井から入ることになる。点検口などがない場合、天井の一部を剥がして入る。剥がした部分は新たに点検口を設置する。
特に下屋部分の施工に際しては、点検口がない場合が少なくなく、そうした住宅では手間が増える。
天井に上がる部屋に貴重品や壊れやすいものがあれば、建て主に移動しておいてもらう。また、小屋裏で作業する際に照明器具が必要になるので、念のためコンセントの位置などを確認しておく。
■下屋の気密ラインを保つ
注意点としては、小屋裏には火打ちや吊木、筋かいなど、断熱施工上の邪魔者が多いので、そうした部材をよける形状に断熱材をカットして、隙間なく詰めていくことだ。
この場合の作業としては、まず小屋裏で各種の部材と断熱材が干渉しない隙間の寸法を測り、その数値に基づき、下階で断熱材をカットするという段取りになる。1人でやるのは非効率なので、中心となる職人(大工)と手元の2人でやることになるが、それでも手間を要す。
下屋部分の防湿・気密の様子。天井と壁の双方に断熱材を充填し、防湿フィルムで覆う(写真提供:山善工務店[以下、同じ])
下屋部分は半外部となるため透湿防水シートで壁の部分をくるむ
シートのつなぎめはアクリル系のテープで処理をする
もう1つの注意点としては、下屋の壁の扱いだ。下屋は1階の天井が面しており、外壁と天井などの取合いにおける防湿・気密施工が不十分な場合、居室から下屋に水蒸気が浸入する可能性がある。それを防ぐ(改善する)ために、写真のように断熱した上で、新たに透湿防水シートを張って防湿・気密性を確保する。
上述の防湿・気密処理がしっかり施されていれば問題はないと思われるが、可能であれば、下屋の給気口と排気口を別々に設けるように改修すると、万全だ。その際、排気口に関しては下屋頂部に設けるようにしたい。