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2018/07/20 13:47 - No.233


第2回「・・・とても先進国とは思えない樹脂窓の普及率!」


住宅ライターがレポート!『樹脂窓のチカラ』
ともこ @住宅ライター

2018/07/20 13:47 - No.233

 


ともこ@住宅ライターです。
早速ですが、まずは上のデータをご覧ください。


これは、世界の材質別でみた窓の普及率をあらわしたものです。第1回にて樹脂窓の普及について少し触れていましたが、かなり残念なデータですね。


高性能住宅の先進国はドイツといわれています。そのドイツや、イギリス、フランス、アメリカなどの国は、樹脂の普及率が60%を超えています。木製も熱を伝えにくい材質なので、20%前後のシェアがありますね。
国をあげて高断熱住宅を普及させているのが見てとれます。

話を戻しまして、日本の樹脂の普及率を見てみると、わずか17%…。
これでも増えてきたそうなのですが、ドイツといった住宅先進国と比べると、まだまだ格段の違いがあります。

中国を見てみると、樹脂の普及率は30%ですが、寒冷地域はほぼ樹脂が採用されているそうです。国土の広い中国では、南の温暖な地域に人口が集中しているので30%にとどまっているそうですが、それでも日本と比べて約2倍の普及率。
お隣の韓国に至っては、なんと80%!完敗です。

アルミにも注目してみましょう。
ドイツの普及率が7%に対して、日本は41%。なんと、5倍以上もの差が!あまりの違いに驚きを隠せません。

自動車や家電などで世界をリードしている日本が、窓に関しては、完全に世界から遅れをとっているのが分かります。日本はG7の先進国なので、窓の性能だってドイツやアメリカと肩を並べているべきですよね!アルミと樹脂の比率を逆転させておくべきですよね!!
一体、なぜこんなことに…。


ということで、今回は窓メーカーのYKK APで開発・製造している樹脂窓と、玄関ドアをレポートします。


@TOTO DAIKEN YKK AP高松コラボレーションルーム


樹脂窓について教えてくださるのは、YKK AP株式会社 四国支社長(取材当時) 日高亮(ひだか りょう)さん。この道30年以上の、窓のスペシャリストです。国民の健康でローエネな暮らしを実現するため、高性能な樹脂窓の普及に力を入れています。



箕岡智子(以下智子)「日高支社長、後編もよろしくお願いします。」


日高支社長(以下敬称略)「こちらこそ、よろしくお願いします。」



重厚なトリプルガラスの樹脂窓がスーっと!


日高「前回ご紹介したトリプルガラスの樹脂窓を実際に展示しているのが、こちらのモデルルームです。」


智子「あの、ものすごい断面だったトリプルガラスの樹脂窓ですね。奥にある大きな掃き出し窓ですか?」


日高「そうです。こちらの掃き出し窓のガラス1枚の高さは約240cm、幅は約120cmくらいあります。」


智子「大きいですね。高さ240cmということは、一般的な家の天井までの高さ!色んなお宅に取材に行きますが、これはビッグな方です。こんなに大きな窓がリビングにあると、気持ちがよさそうですね。」



智子「ただ想像どおり、とても分厚いですね。今まで勉強してきたので断熱に関しての安心感はありますが、なんだか重そうです…。」


日高「確かに重いです。でも大丈夫!女性も楽に開閉できますよ。試しに開けてみてください。」




智子「おぉ、ほんとですね。スーっと動きました。」


日高「この掃き出し窓、実は約80kgあるんですよ。」


智子「80kgも!? そんな重さは感じなかったです…。」


日高「80kgもあると、摩擦も加わり実際の重さよりも重たく感じるのですが、独自の部品技術でスーっと開閉できるように工夫してあります。」


智子「それなら重さに対する心配はいらないですね。金庫みたいに、ガチャっとぴったり閉まる感じもまたいい。隙間風も全くなさそうです。」


日高「断熱のみならず、YKK APの樹脂窓は気密性も世界トップクラスです。断熱性能を高めるためには、高気密であるということは必要不可欠な要素です。そして、これまで繰り返しお伝えしてきましたが、窓は熱の出入りが家の中で1番多い場所です。だから、窓はなるべく小さい方がいいのは分かりますね?」


智子「はい。」


日高「大きい窓にするためには、ここまで重厚にしておかないと断熱できないということを覚えておいてください。」


智子「分かりました!覚えておきます。」



紫外線カットしてくれる?夏の窓もチェック!


日高「続いて、こちらのコーナーをご覧ください。」


智子「夏の窓の体感コーナーですね!前回は、冬の窓でした。」


日高「そうです。冬の窓の実験機と同様に、色々な材質の窓を触ったりできます。窓の向こうは温室になっていて、42.3℃の室外環境を再現しています。冬の窓は断熱タイプでしたが、夏の窓は遮熱タイプです。」


智子「遮熱ということは、家の西面や東面、場所によっては南面に用いたら良いタイプですね。それにしても、42℃って熱帯地域みたいになっていますね。」


日高「これから、温暖化が進むと他人事ではなくなってきますよね。」


智子「たしかに…。」


■1番左のアルミフレームの単板(1枚)ガラスで構成している外窓/フレミングJのフレーム温度42.7℃、ガラス温度43.2℃。1番右の樹脂フレームのトリプルガラスで構成している窓(ダブルLow-E、アルゴンガス、樹脂スペーサー採用)/APW 430のフレーム温度30.5℃、ガラス温度27.8℃■


智子「それに、夏の窓の室内側温度もまた、1番左の外窓と、1番右の窓とでは、10℃以上の差がありますね。」


Low-E、アルゴンガスについては前回をご覧ください。

■サーモグラフィのモニタリング。1番左の窓は二重窓にリフォームした例。熱を伝えやすいアルミフレームは赤く高温になっているのが分かる■


日高「窓から伝わる熱が、右側の窓にいくにつれて遮断されているのが分かりますね。トリプルガラスの樹脂窓は、夏も力を発揮してくれるというわけです。夏の窓も、窓ガラスやフレームを触って温度を体感してもらえたらと思うのですが、とくに注目してもらいたいのは、紫外線です!」


智子「紫外線といえば、シミの原因!! 」


日高「そうですね。それでは実際に、侵入してくる紫外線の量を測定器で測ってみましょう。」


■フレミングJ(一般複層ガラス):アルミフレーム。フレーム温度/38.2℃。ガラス温度/33.8℃■


日高「左から2番目のこの窓は、一般複層ガラスといって、ガラスが2枚で構成されたタイプです。紫外線量が101nm(ナノメートル)と表示されていますね。ガラスが1枚の場合だと、150nmくらいになります。」


智子「つまり、普通のガラスは1枚でも2枚でも、3ケタ代の紫外線量になるということですね!」


■マドリモAPW 310(Low-E複層ガラス):室外側アルミフレーム、室内側樹脂フレーム。フレーム温度/34.5℃。ガラス温度/30.7℃■


日高「続いて、中央の窓です。こちらは、Low-E複層ガラス(遮熱タイプ/ブルー)といったタイプの窓です。」


智子「Low-E複層ガラスは、2枚のガラスのうち1枚に、薄い金属膜をコーティングしているんですよね!」


日高「正解です!よく覚えていましたね。数値を見てみると、24nmですね。」

智子「さきほどの窓の1/4!ここまで紫外線カットできるんですね。」


■マドリモAPW 430(ダブルLow-E、トリプルガラス、アルゴンガス入り):室外・室内共に樹脂フレーム。フレーム温度/30.5℃。ガラス温度/27.8℃■


日高「最後は、1番右のトリプルガラス(日射遮蔽型/ブルー)の窓です。ダブルLow-Eのタイプですから…」


智子「はい!3枚のガラスのうち2枚に、薄い金属膜をコーティングしている窓です。」


日高「よくできました!」


智子「(いつの間にかクイズ形式になってますが)3nm?測定器、壊れてないですよね?あまりに違いすぎます。」


日高「壊れていませんよ。このタイプだと、ここまで紫外線がカットできるんです。紫外線は、シミやシワの原因と言われていますし、フローリングや畳、家具やクロスの色焼けの原因でもあります。家の建材や建具をきれいに長持ちさせるためには、こういったことも気を使いたいところですよね。」


智子「はい。お肌のためにも!」



今回の実験も表にしてみました。


日射遮蔽型ダブルLow-Eの紫外線カット力を見せつけられました。
断熱のことも考えると、Low-Eガラスはぜひ採用したいですね。



窓だけじゃない?高断熱の玄関ドアもあるんです!


日高「続いては、玄関ドアコーナーへ参りましょう。」



智子「窓だけではなく、玄関ドアもあるんですね。木目の風合いがいい感じです。」


日高「家の開口部は、窓に次いで、玄関も大きな場所です。ですから、玄関ドアも断熱性能の高いものを用意しています。」



日高「左側にあるD50は70mm厚の断熱パネルを使用しています。右側のD70は、D50と同厚の断熱パネルを使っていて、その断熱パネルの両側を高耐候天然木で挟んでいるので、合わせて82mmの厚さなっています。どちらの玄関にも、アルミと樹脂の複合枠を用いており、高い断熱性能を発揮するんですよ。」


智子「ここまでくると、専門用語もスッと入ってきます。D50の方は、スリットの窓があるんですね。」


日高「その窓には、トリプルガラスのダブルLow-Eが入っています。」


智子「断熱、遮熱も心配いらないですね。」


日高「D70にいたっては、熱貫流率(U値)0.9W/(㎡・K)という値が出されています。」


※上記の熱貫流率についての注意事項があるのでこちらのページを参照ください。


智子「熱貫流率(U値)は小さいほど優秀なので、1W/(㎡・K)を切るというのはかなり高断熱の玄関ドアですね。」


日高「この熱貫流率(U値)というのは、玄関のみならず、窓も表記しているので、ひとつの指標にしてみてくださいね。屋根や壁も同様ですから、ぜひ家づくりに役立ててください。」


智子「わかりました!ありがとうございます。」



まとめ

トリプルガラスの樹脂窓は重厚に造られているが、女性でも簡単に開閉できるように工夫していることが分かりました。そして、トリプルガラスは、断熱のみならず遮熱にも優れています。熱貫流率(U値)は、玄関ドアや窓、屋根、壁など家全体で算出できるので、ひとつの指標となりそうですね。

第3回は、本企画の続編として、樹脂窓のリフォーム(マドリモ)実例を紹介します!乞うご期待!



※こちらの記事は「家づくり情報サイトieny」(https://ieny.jp)>まじか…とても先進国とは思えない樹脂窓の普及率!からの転載です。 




第1回: 「知られざる事実!? 家の中で熱の出入りが1番多い所は、アソコだった!」
第2回: 「・・・とても先進国とは思えない樹脂窓の普及率!」
第3回: 窓リフォームでヒートショック予防を!【最終回】


 
ともこ @住宅ライター
フリーランス住宅ライター

フリーランス住宅ライター編集者。広島県出身。愛媛県在住。タウン誌営業→スノーボードインストラクター→住宅誌営業(現 株式会社KG情報/家づくり学校)→フリーに。住宅誌づくりを通じて住宅の面白さにハマる。現在は主に一般向けの住宅誌や住宅サイトで執筆中。省エネ建築診断士。twitter/ともこ@住宅ライター。有料note/工務店向け!これは真似できる「一条工務店の集客術」(https://note.mu/tomoko_house/n/n253526d8a40f)を発売中。

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