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2019/08/23 11:59 - No.539


第3回 耐震改修設計の考え方①基礎補強


事例に学ぶ耐震改修のセオリー
大菅 力

2019/08/23 11:59 - No.539

 
前回は耐震診断の流れと調査のポイントについて解説した。今回は診断結果に基づき、どのように耐震改修の仕様を決めていくかを解説する。耐震診断から耐震改修へと進む場合、耐震以外のリフォームに関しても提案したい。耐震改修に伴って床や壁などの解体が生じるため、内外装のやり変えや断熱改修、間取りの変更なども効率的に行える。この事例も例に違わず、傷んでいた屋根や外壁のやり変えや階段の掛け替えなどのリフォームを行うことになった。この規模のリフォームになると、建て主には仮住まいをしてもらって、現場と生活の場を分けると工事がしやすく、建て主にも余計なストレスが掛らず理想だが、仮住まいの費用や引っ越しの手間などを考えると、実際には工事を行う建物で生活しながらリフォームを行うことになる。この事例においてもそのかたちを取ることになった。■基礎補強の考え方この事例は新潟市の耐震改修の補助金を利用するため、耐震評点1.0以上にする必要がある。評点は新潟市が指定している診断ソフトを利用して判定する。耐震診断をもとに、基礎の補強から耐力壁の増設、2階の水平構面の強化などを盛り込んだ設計をまとめ、診断ソフトで判定するという作業を何度か繰り返し、壁量を満たし、偏心率が最小となる耐震改修設計を探っていく。ソフトはあくまで判定を行うものなので、最適解を導き出すには見識や経験が重要となる。補強診断に際しては建物の劣化状況を反映して、低減係数が掛けられる。この事例では改修後の低減係数が0.9となるため、1/0.9(約1割)を割り増しした耐力が必要になる。基礎に関しては、既存建物における短手方向の2階外壁ライン(X4通り)に基礎がないことが最大の問題であった。建物の荷重を受け止めることができず、1階の床が60㎜下がっていた。 ..
 
大菅 力
フリーランス

1967年東京生まれ。早稲田大学第二文学部中退後、木材業界雑誌の出版社を経て1994年株式会社建築知識(現 株式会社エクスナレッジ)入社。月刊「建築知識」、季刊「iA」などの建築、インテリア専門誌の編集長を務める。2010年退社。 現在フリーランスとして、季刊「リノベーションジャーナル」(新建新聞社刊)の編集長を務める。主な著作に「リフォーム 見積り+工事管理マニュアル」(建築資料研究社)、「世界で一番やさしい仕上材(内装編)」(エクスナレッジ)、「心地よい住まいの間取りがわかる本」(エクスナレッジ)などがある。

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