前回は耐震診断の流れと調査のポイントについて解説した。今回は診断結果に基づき、どのように耐震改修の仕様を決めていくかを解説する。耐震診断から耐震改修へと進む場合、耐震以外のリフォームに関しても提案したい。耐震改修に伴って床や壁などの解体が生じるため、内外装のやり変えや断熱改修、間取りの変更なども効率的に行える。この事例も例に違わず、傷んでいた屋根や外壁のやり変えや階段の掛け替えなどのリフォームを行うことになった。この規模のリフォームになると、建て主には仮住まいをしてもらって、現場と生活の場を分けると工事がしやすく、建て主にも余計なストレスが掛らず理想だが、仮住まいの費用や引っ越しの手間などを考えると、実際には工事を行う建物で生活しながらリフォームを行うことになる。この事例においてもそのかたちを取ることになった。■基礎補強の考え方この事例は新潟市の耐震改修の補助金を利用するため、耐震評点1.0以上にする必要がある。評点は新潟市が指定している診断ソフトを利用して判定する。耐震診断をもとに、基礎の補強から耐力壁の増設、2階の水平構面の強化などを盛り込んだ設計をまとめ、診断ソフトで判定するという作業を何度か繰り返し、壁量を満たし、偏心率が最小となる耐震改修設計を探っていく。ソフトはあくまで判定を行うものなので、最適解を導き出すには見識や経験が重要となる。補強診断に際しては建物の劣化状況を反映して、低減係数が掛けられる。この事例では改修後の低減係数が0.9となるため、1/0.9(約1割)を割り増しした耐力が必要になる。基礎に関しては、既存建物における短手方向の2階外壁ライン(X4通り)に基礎がないことが最大の問題であった。建物の荷重を受け止めることができず、1階の床が60㎜下がっていた。 ..
この続きはA-PLUGに会員登録して
読むことができます!
A-PLUGは工務店様・リフォーム店様などの
建築関係プロユーザー対象の会員制サイトです。