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2021/01/26 08:45 - No.994


第4回 クラウド活用を最大化する考え方と手順


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~思考が変われば現場施工も変わる!~NEXT STAGEが監修する施工管理メソッド
小村 直克

2021/01/26 08:45 - No.994

 
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昨今、アンドパット社を筆頭にダンドリワークスやキズクをはじめとした建設クラウド等の施工管理におけるクラウドアプリが目覚ましく普及してきています。

既にご採用をされている企業様も多いのではないでしょうか?

この普及の活発化は「ICT:Information and Communication Technology」(情報通信技術)の普及を意味しています。

特に建設業界を取り巻くテクノロジーである「Con-Tech(コンテック):Construction Technology」(建設テック)は世界規模で注目されており、例えば「生産性向上を促進するための三次元のデータ化」や「無人航空機」、「様々なマッチングサービス」等へのビジネス投資がアメリカを中心に広がってきております。

そして、日本でも建設テックの普及は加速しております。

その理由としては現場で従事する職人不足や現場監督不足、さらにはローコスト化による工期短縮や付帯業務の削減等による利益確保を基盤に製造における生産性向上や業務効率化を解消するために積極的に活用をしていこうという風潮が強まっているからと考えられます。

また、個人においても生活環境そのものに様々なデバイスが普及し、日常においてもスマホは欠かせない生活必需品となってきたことも、さらに建設テックの普及・浸透を加速させているのです。

そこで今回のテーマは、このようなクラウドアプリを活用される企業様が増加していることから、それらのクラウドツール機能を最大限に活用して頂くための目的や考え方、また施工管理の視点から本質的な運用目的や方法をご紹介していきたいと思います。

はじめにクラウドツールを活用していく為の大前提として、工務店事業そのものの業務フローを整理していきましょう!

 

業務フローは大きく以下のようなカテゴリーで流れています。



このような工務店事業全体の流れでのクラウド運用を考える際、漠然とそれぞれにクラウドツールを当てはめ、とりあえず使えるところから運用していこうとするのではなく、まず各業務工程で、自社のどの部分がボトルネックとなっているのか?因数分解することが先決となります。

そして、抽出されたボトルネック部分を、下記の4つの解決方法に当てはめていくのです。



以上の4つの解決方法に仕分けた後、全体的な業務フローをアナログでもよいのでしっかりと社内の基本的な流れとして構築することが重要になります。

業務フローを作成する際のポイントとしては、特に承認ポイントと権限を明確にする事が重要となります。

このような業務フローが存在しないと、どれだけ優れたアプリケーションを導入しデジタル化しても、全く機能しないことをここでしっかりと押さえておきましょう!

 

それではここからは、クラウドツールを推進していくための重要なポイントを3つお伝えしていきます。

1つ目は、課題の因数分解の方法となります。

因数分解の方法はマインドマップを利用することが非常に効果的であり、基本的な因数分解の思考に基づき、「なぜ?」の繰り返しを反復すればするほど、精度の高いボトルネック部分を抽出することができます。

ここで1つ事例をお見せしましょう!

例えば、工務課が疲弊し、施工管理体制そのものがうまく回らない!という課題があったとしましょう。

このような場合、「では、わが社の現場監督が目指したいことは一体どんな事なのか?」を頭に、簡単に因数分解してみます。

すると、以下のような分解となります。



本来現場監督のやりたいことは、「良い引き渡しをしたいよね!」「職人さんに頼られたいよね!」というような、主観的ななりたい姿に対し、「なぜ、良い引き渡しができないのか?」という疑問符をつけることで、「クレームが多いから…」「工期を守らないといけないから・・・」など、沢山出来ない理由が出てくるのです。

さらに何故を繰り返し、「なぜクレームが多いの?」と分解すると、「監督そのものが足りていない・・・」「時間がないから・・・」などの細かい要因が見えてきます。

そしてさらに「なぜ、時間がないの?」と繰り返すことで、会議の在り方や、そもそも納材にかかわるロスが多いことなどの詳細な要因がだんだん見えてくるのです。

図表の解説はここまでとしますが、例えば納材のロスについては、その前段階の受発注管理に課題があったり、それを拾い出す際の原価管理、さらには設計図書そのものに根本的な課題が見えてくることもあるのです。

このように自社の業務フローのボトルネックをしっかりと抽出し、それを課題解決するために前述に述べた4つの解決方法へ適切に振り分けながら、業務フローを再構築していきましょう! 

 

そして2つ目のポイントは、業務改善をする際の時間の問題です。

その問題に直面してしまう理由には、優先度と重要度の見極めができていないことから作業が膨れ上がり、業務改善に当て込む時間が取れないという根本的な要因があります。

その根本的要因には、以下の図表をご覧ください!



目の前の急ぎとなる対処仕事がどうしても優先されてしまい手を取られてしまうことが大きな要因となります。

このような仕事の全容は、ほとんどが付帯業務です。

現場監督としてやるべき本来の役割である以下の8つの主体業務に時間が配分されず、優先される付帯業務に重きが偏っていくことで、会社全体の生産性が落ちていくという訳です。

このような状況を放置した状態でクラウドアプリをいくら導入しようが、そのクラウドアプリへの入力作業そのものもが付帯業務化し、さらに作業増加していくという負のスパイラルの始まりになります。

あくまでもクラウドアプリは主体業務に少しでも活かしていくことが理想形だということがここで理解出来ます。


  

最後3つ目のポイントは、時間が裂けない中での改業務善の方法になります。

実は業務改善できない理由は、改善する時間がないか、改善する方法が解らないかの2つになります。

その2つの要因を解決する内容のプロセス手順は、以下の図表の通りとなります。

 

改善できない理由は、「時間がない」か
「改善の方法が解らない」のどちらかしかない!


おそらく往々にして引き起っている現状は、このようなことではないでしょか?

従来の仕事を改善しないあまり、単純に外部要因によってそのまま付帯業務として積み上がってしまい、結果、改善する時間がないという現象に襲われます。

正しい改善とは、自分たちの会社の業務課題を因数分解し、前述に述べた4つの解決方法をもって、そこをしっかりと低減することにあります。

そうすることで未来の仕事をいくらかでも携われる時間ができるはずなのです。

つまり、管理職を中心に、社員各々の仕事の因数分解から自分たちの仕事の現状を知り、どれだけ付帯業務が多いかということを改めて具体的に確認し、それをできるだけ主体業務に転換する時間の使い方を模索することが、「時間=価値」という考え方の浸透となり、評価と合わせて会社としての基盤改革を進めていくのです。

  

最後に、クラウドアプリを最も効果的に運用するポイントをお話しいたしましょう!

特に業務改善項目の中でも「システム化」に当てはまるカテゴリーを中心に運用PHASEに乗せ込んでいきましょう。

恐らく乗せ込みたい項目は、属人的に管理したくない内容であったり、一律に共有させたりしたいことが中心に上がってきていると思われます。

例えば、設計図書の共有などもその1つと言えるでしょう。

職人によって渡した?渡してない?といった人的作業に依存しないよう、設計図書データをすべての職人がいつでも共有できる環境をクラウド上で作ることで、現場の作業が止まったり、間違った指示がいかないように防止できるだけでも、大きな効果となります。

ただ、ここで2点ご注意いただきたい事があります。


まず1点は現場監督の本来やるべき8つに役割の1つに、「情報管理」という役割が存在します。

この役割は、当然クラウドアプリの運用計画も含めて仕組化していかなければならない役割となります。

図面が共有できたのは良いが、実はバージョン管理ができていないことで、古い図面情報が職人に渡っていたという結果では本末転倒です。

従って、情報管理という役割の一部にクラウドアプリの運用規定というものをしっかりと事前計画し、運用PHASEに乗せこんで頂きたいのです。

もう1点は、「現場アプリ」や「施工管理アプリ」という名称で馴染まれているだけに、現場で使うためのアプリという認識が強いことで、以下に記載の「現場ですべき3つの仕事」を中心に利用しようとしてしまうことです。

例えば品質管理にアプリを使うとなると、結果的に主体的な品質管理業務ではなく、付帯的な現場写真撮影業務という内容が変わってしまい、本質的な品質管理ができず、単なるエビデンス残しという作業化となれば、こちらも本末転倒です。

エビデンスを残す作業は確かに大切ではありますが、工務部門がやるべき役割の本質だけはしっかりと目的を明確に定義し、手段としてアプリケーションを利用しましょう!


私自身が推奨する本質的な運用の方法は、実は現場ですべき3つの役割よりも、着工前にすべき5つ役割を中心に利用する方が、非常に効果的であるように考えます。

業務フローの確定としっかりとした承認ができれば設計図書精度も高いレベルで担保できますし、それに準じた正確な原価管理ができ、また拾い出した資材の適切な受発注業務から納材業務までもが一気通貫でクラウド活用できる訳なのです。

このような背景から、工程管理も計画通りに進められる前提が揃ってくることで、現場ですべき仕事の生産性も連動して上がってくるということなのです。

そのためには、着工前にすべての内容を決め切った状態から変更させないしっかりとしたルールも必要となりますし、何より情報管理のルールと統制を徹底的に推進することで、クラウドアプリの効果は最大化すると言えるでしょう!

 

株式会社 NEXT STAGE

TEL 06-6622-0333
E-MAIL info@nextstage-group.com

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第1回:「現場管理の方法は変わり始めている」
第2回:「基礎」工事のポイント✕「相談できる場所」
第3回:「土台」工事のポイント✕「自社基準があるから判断ができる」
第4回:「ルーフィング」工事のポイント✕「OJT教育」
第5回:「構造金物」工事のポイント✕「設計図書の工夫で不備をなくす」
第6回:「耐力壁」工事のポイント✕「監査は改善、検査は対処」
第7回:「外壁防水」工事のポイント✕「情報共有の重要性と現場の透明化」
第8回:「通気層」工事のポイント✕「原理原則を知るとわかること」
第9回:「断熱」工事のポイント✕「第三者監査を取り入れる目的」
第10回:「内装ボード」工事のポイント✕「職人の技能をほめる」
第11回:「小屋裏換気」工事のポイント✕「最初からハードルを上げないこと」
第12回:「浴室・浴室廻り」工事のポイント✕「生産性向上を図る!「ムリ」「ムダ」「ムラ」の改善」
第13回:「外部仕上げ」工事のポイント✕「人材育成」という課題の解決
第14回:「コンクリート・型枠」工事のポイント✕「コスト削減と施工品質確保の両立」
第15回:「設計要因における不備解消」のポイント✕「民法改正に備える」
第16回:「床」工事のポイント✕「工程管理は2つの軸のバランスである」
第17回:「バルコニー防水」工事のポイント✕「現場品質が向上しない理由。ここが欠けている!」
第18回:「大工職人」のファインプレイ✕「住宅リフォームにこそ、施工手順マニュアルが不可欠」

 


 
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小村 直克
株式会社 NEXT STAGE

1968年2月生まれ。1990年大阪学院大学経済学部卒業後、小堀住研(株)(現:(株)ヤマダホームズ)、 そして建材商社を経て、2006年に(株)NEXT STAGEを創業。 民間でいち早く第三者検査事業をスタートさせ関西を中心に普及させてきたが、本質的な技術者の人財化や 品質向上への仕組みにギャップを感じ、2013年には、業界初の施工品質監査ナレッジマネジメント体系を業界に提唱し、 「監査」という独自の手法を用いたPDCAサービスを展開する。 現在では全国8拠点、800社を超えるビルダーがサービスを導入し、2020年には建築技術に特化した 学習環境プラットフォーム事業を本格化させ、2021年8月より、これまで蓄積してきたテクニカルビックデータを駆使し、 誰もが参入できなかったデータ&アナリティクス事業を実現させ、これからの住宅価値を変えるエッセンシャルな建設DXを 推進する。 

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