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2021/02/26 08:18 - No.1014


第5回「専任現場監督制の脱却」がこれからのスタンダード


~思考が変われば現場施工も変わる!~NEXT STAGEが監修する施工管理メソッド
小村 直克

2021/02/26 08:18 - No.1014

 


生産性向上というキーワードは、近年の職人及び現場監督不足、そしてスキル不足から、製造業としての品質と同様に必須の経営課題となってきております。

そのような環境下において、このようなことをよく耳にします。

「現場監督1人当たり、年間何棟持たせたら良いの?」という管理棟数の会話です。

これは、現場監督1人あたりにおける管理経費というものの効率化を労働生産性の観点を頭から導こうとするものです。

確かに労働生産性を改善することは非常に大切なことではありますが、単純に1棟当たりの現場訪問回数を無理に削減したり、多棟数の建築現場をやみくもに背負わせるという理不尽なやり方は、逆にスタッフの就労面や遣り甲斐面での負担を強いることにつながり、「貴重な人材を離職させる」という資源の損失になりかねないのです。

そこで今回は、いかに施工管理の生産性を上げながら品質を落とさないでいく手法を、しっかり学んでいきましょう!

まず大前提として、特に新築住宅に関しては現在「規格住宅化」が進んできています。

よく注文住宅と表現をしている会社でも、ある程度の主要構造や仕様スペックは同一の規格となっており、仕上げや見た目に対する仕様を自由に選択させることで、注文住宅という表現をされている企業様も多いのではないでしょうか。

つまり製造視点で考えてみると、最近はほとんどが規格住宅化してきていると言っても過言ではないことから、規格住宅としてのメリットというものを如何に引き出せる施工管理体系というものに転換していく必要があるということです。

下記の図表を見てみましょう!

以前にもお伝えいたしましたが、現在の建築会社の施工管理体系はこのような「プロジェクトマネジメント型体系」と言えます。



この図表は、第2回目の講座でお伝えいたしましたので、、是非復習の意味で再度お読みいただけたらと思います。

このような人的依存型の仕組みそのものが一番の根本的な重要課題です。

規格住宅であるにもかかわらず、設計業務や申請業務、そして施工管理業務に至るまで、ほとんどを外注化し、外注先の人的能力に依存している状態を示すものです。

これでは、ビルダー業として虚業のリスクとなり、行き当たりばったりの施工環境をいつまでも脱却できないということになります。

そこで規格住宅のメリットを最大限に引き出す手法が、下記の「プログラムマネジメント型体系」に転換することを同時にお伝えいたしました。

図表で表すと、下記の通りとなります。



この図表のように、工場生産型体系をイメージし、同じ仕様の規格住宅に対して物件単体の管理で終わらせず、同一仕様の住宅を連続的に管理し、組織で進めていくということが大切です。

このようなプログラムマネジメント型で施工管理をしていく上で、生産性向上を実現できるポイントが1つあります。

それが「専任現場監督制の脱却」です。つまり施工管理そのものを役割別にタスク化し、そのタスクに応じてチーム制で管理していくという手法です。

下記の図表を見てみましょう!

この施工管理における8つの役割も前回にお伝えしたと思いますが、大きくは「現場でしかできない3つの役割」と、「着工前に準備すべき5つの役割」の2つのチームに分けてセグメントしておくことが大切です。

このチーム分担をしない状態で進めてしまうと、8つの仕事がすべて個人最適に推進されてしまい、スキルによって精度そのものの内容が変わってしまいます。



このような役割シーンでのセグメントをチーム化します。

例えば、現場でしかできない仕事を「仮称:品質管理チーム」と名付け、着工前に準備すべき仕事を「仮称:施工推進チーム」と名付けて、以下ご説明していきます。

品質管理チームは基本的に現場ですべき仕事ばかりですので、着工前に準備済みの工程計画、原価計画、受発注計画、情報管理計画などの計画内容に沿って進めていくのですが、ここで大切なポイントを紹介いたしましょう!

下記の図表を見てください。



品質管理、安全管理、環境保全の管理についてですが、現場でどのように管理すれば良いでしょう?

単純に現場に行って現場写真を撮影し、注意喚起するだけでは役割を果たすという行為には至りません。

管理を行うということは、全てに管理計画が存在しないといけないという訳です。

例えば、品質管理をするためには品質基準が作成されていないとその納まりの評価もできませんし、安全管理基準書が無ければ、どのタイミングで何を評価したら良いのかもわからないのです。

つまり、すべての評価するための基準書や計画書というものを、まず会社として確実に策定しておくことを試みましょう!

特に現場チームでは、経験値豊かなベテランスタッフだと自身の経験値をベースに管理してしまう傾向にあることから、キャリアの浅いスタッフやきめ細かな気遣いのできるスタッフなどの起用は非常に有効だと考えます。

真っ白な考え方で基本に忠実に社内目的学習を実践し、現場の体感をブリッジさせながらスキルを積み上げていける絶好な環境と言えるでしょう。

また専任担当制でないことから、チーム全体でコミュニケーションを図れたり、そして成功事例を共有してみたりと、チームで事象を可視化しながら公正な推進が可能になることで、社内ナレッジ化も加速するに違いありません。

慣れてくると、3名体制で年間100棟もの物件を品質確保しながら管理できるようにもなるのです。

次に施工推進チームです。

このチーム編成のポイントは、建築を熟知している管理者やベテランスタッフを中心に内製化することが鍵となります。

ベテラン勢は、特に現場ではついつい個人商店化してしまうのですが、社内に入って着工前のすべての承認を請け負う環境下に置くと、マスで準備できるような仕組みを作ろうとしますので、その仕組みがしっかりできるとなると現場の良い引き渡し物件がどんどんと増えていくのです。

まさしく「段取り八分」で、このチームの精度が上がれば上がるほど、引き渡し物件の8割が最良な引き渡しを迎えられるといっても過言ではないでしょう。

以下の図表を見てみましょう!



これは仕事の難易度順に役割を並べたものです。

受発注管理から設計監理に向けて段々と仕事の難易度が上がっていきます。

さらに「①設計監理」が最も重要度の高い役割となります。図表には重要度も番号順に並べてますので、是非この図表をもとに、社内スタッフのスキルや力量をしっかり見極め、人材配置をしてみましょう。



そして住宅を製造する根本は、やはり設計図書に沿って仕上がっていくということです。

設計図書精度がどれほど重要なものかは、上記の図表をじっくり見てください。

製造過程までどのくらい大きく影響を及ぼしてしまうのかを認識しておきましょう。

この最優先課題を先延ばしにすることで、今後、会社の利益を損ね、クレームから生涯顧客を損失するという大変なことにも繋がりかねるので、設計監理という役割をここで改めて再認識しておきましょう。

これからは、品質管理チームの現場ナレッジ化の促進と、その製造を行う前の事前計画を担う施工推進チームのコミュニケーションを持った推進力こそが、製造会社としての大きなパラダイムシフトとなるに違いありません。従来型の施工管理体系から、専任現場監督制を脱却し、チーム編成での仕組みで管理する体系にチャレンジしてみてください。



株式会社 NEXT STAGE

TEL 06-6622-0333
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第1回:「現場管理の方法は変わり始めている」
第2回:「基礎」工事のポイント✕「相談できる場所」
第3回:「土台」工事のポイント✕「自社基準があるから判断ができる」
第4回:「ルーフィング」工事のポイント✕「OJT教育」
第5回:「構造金物」工事のポイント✕「設計図書の工夫で不備をなくす」
第6回:「耐力壁」工事のポイント✕「監査は改善、検査は対処」
第7回:「外壁防水」工事のポイント✕「情報共有の重要性と現場の透明化」
第8回:「通気層」工事のポイント✕「原理原則を知るとわかること」
第9回:「断熱」工事のポイント✕「第三者監査を取り入れる目的」
第10回:「内装ボード」工事のポイント✕「職人の技能をほめる」
第11回:「小屋裏換気」工事のポイント✕「最初からハードルを上げないこと」
第12回:「浴室・浴室廻り」工事のポイント✕「生産性向上を図る!「ムリ」「ムダ」「ムラ」の改善」
第13回:「外部仕上げ」工事のポイント✕「人材育成」という課題の解決
第14回:「コンクリート・型枠」工事のポイント✕「コスト削減と施工品質確保の両立」
第15回:「設計要因における不備解消」のポイント✕「民法改正に備える」
第16回:「床」工事のポイント✕「工程管理は2つの軸のバランスである」
第17回:「バルコニー防水」工事のポイント✕「現場品質が向上しない理由。ここが欠けている!」
第18回:「大工職人」のファインプレイ✕「住宅リフォームにこそ、施工手順マニュアルが不可欠」

 


 
小村 直克
株式会社 NEXT STAGE

1968年2月生まれ。1990年大阪学院大学経済学部卒業後、小堀住研(株)(現:(株)ヤマダホームズ)、 そして建材商社を経て、2006年に(株)NEXT STAGEを創業。 民間でいち早く第三者検査事業をスタートさせ関西を中心に普及させてきたが、本質的な技術者の人財化や 品質向上への仕組みにギャップを感じ、2013年には、業界初の施工品質監査ナレッジマネジメント体系を業界に提唱し、 「監査」という独自の手法を用いたPDCAサービスを展開する。 現在では全国8拠点、800社を超えるビルダーがサービスを導入し、2020年には建築技術に特化した 学習環境プラットフォーム事業を本格化させ、2021年8月より、これまで蓄積してきたテクニカルビックデータを駆使し、 誰もが参入できなかったデータ&アナリティクス事業を実現させ、これからの住宅価値を変えるエッセンシャルな建設DXを 推進する。 

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