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2020/10/13 08:37 - No.898


第1回「工事部」というチームの役割を整理する


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~思考が変われば現場施工も変わる!~NEXT STAGEが監修する施工管理メソッド
小村 直克

2020/10/13 08:37 - No.898

 
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住宅建築業界では、今や「施工管理」という表現を簡単に使うことが多いですが、「施工管理」という言葉の概念を本質的に理解している企業が非常に少ないのが現状です。

現場生産性を上げるために現場監督の現場訪問回数をやみくもに削減したり、1人当たりの管理物件数を単純に引き上げたりと、現場崩壊を促す最たる判断に対してSTOPをかけなければならない時代がやってきたのです。

施工管理の本来の目的は、「工事が大規模になるほど工程は複雑になり、技術者の数も増えるため、施工管理によって計画性のある質の高い工事を行う必要性を追求する」ことです。

施工管理の仕事を解りやすく表現すると、発注者との契約によって進められる建築物の製造過程において、各工種の職人や協力業者の手抜きや、設計図書通りに作業を進められているかなど、技術者の指導を含めて管理・監督を行う仕事だということです。

そして、その現場の中心で施工管理をマネジメントする人材を「現場監督」と言い、言い換えれば、現場の総責任者として機能すべき役割であることをここで認識しておきましょう!

実は本質的な現場における品質向上や生産性向上に繋がらない大きな原因の1つには、この概念を論理的なロジックとして持ち合わせない点にあります。



そこでまず、戸建住宅業界(町場工事)での施工管理の役割ですが、正しくは8つの役割が有る事をここで学んでいきましょう!

特に、野丁場工事では建築物が大規模になり、専門工種や工期の広がりから施工管理構造が複雑になり、情報管理を組織管理に置き換えて管理することが多いのですが、住宅建築の場合は建築物が小規模であることから、情報管理を中心に管理することがベストだと考えます。

では、施工管理をする上で、この8つの役割から、絶対に現場でしかできない仕事とは何でしょうか?

実は、「品質管理」「安全管理」「環境保全」の3つとなります。



現在の日本の建築会社の1棟完工までの平均訪問回数をご存じでしょうか? 実は、約40回前後の訪問回数が平均値となっており、多棟数分譲会社においては約20回前後が平均値となっています。

先ほど、現場でしかできない仕事は3つしかないことを認識されたと思いますが、本当に現場ですべき仕事を理解されての訪問回数かどうか?ということを、ここで一度振り返ってみましょう!

いずれにせよ、この3つだけはどうしても現場で実施すべき仕事となりますので、ここでの大きなポイントは、下記の3つのポイントが重要となります。

  1. 達成すべき自社の施工品質基準の明確化
  2. 自社の施工品質基準を評価するモノサシの設定(評価項目づくり)
  3. 目指すべき品質レベル設定

以上の3つを確実に行い、この3つをただ写真に残す!とか、ただチェックシートに○印をつける!というようなエビデンスを残す作業にならないことが非常に重要な事となります。

つまり現場ですべき方策は、エビデンスを残す作業ではなく、是正をして前に進める!という基本の役割があることをここで押さえておきましょう。

特に若手スタッフや経験の浅いスタッフを中心にこの3つの役割に特化させてOJT教育を効果的に運用できれば、スキルUPに繋がり、現場技能者のキャリアアップも望めるのです。

ただ、最近施工管理アプリ等のクラウド導入が多くなり、アプリで写真を残しておけば施工管理が完了しているという間違った認識を持たれている現場監督の方々も増えていますので、改めて再認識しておきましょう。

では、残った5つの仕事は現場ですべき仕事でしょうか?全く違います!



上記の5つは、実は着工前に全て明確に計画されていなければならない仕事であり、現場ですべき仕事ではありません。

ここで気付かれた方も多いと思いますが、良く考えてみれば、この5つの仕事も現在の現場監督に全て背負わせて、何となく現場担当に割り振りしてしまっていることが、そもそも生産管理を正常に進めて行こうとする上では、非常識かつ異常な世界観である事を認識しなければなりません。

つまり、この5つの仕事は特に施工管理経験者やベテランのスタッフが、設計図書承認から工程計画承認、または原価や数量などのチェックを出来るだけ高い精度で着工前にやり切る仕組みを作る事で、実は施工計画が安定し、製造現場がスムーズに進めていけるという事なのです。

「良い引き渡し!」をされる現場のほとんどは、実は現場監督のスキルに左右されることよりも、着工前の準備精度に左右されていることをここでしっかりと学んでおきましょう! まさしく「段取り八分!」という訳ですね。

* * *


我々NEXT STAGE GROUPは、ご愛用頂いている標準施工手引書に加え、今後、「安全管理手引書」及び「環境保全手引書」なども順次リリースしてまいります。

このような基準指針を単体で終わらせず、明確な目標設定に転換しながら計画的な運用フェーズに向けて乗せ込んでいけるバックアップサービスを強化しておりますので、人材育成を含めてお気軽にお問い合わせくださいませ。

URL  https://nextstage-group.com/

 

 


 

第1回:「現場管理の方法は変わり始めている」
第2回:「基礎」工事のポイント✕「相談できる場所」
第3回:「土台」工事のポイント✕「自社基準があるから判断ができる」
第4回:「ルーフィング」工事のポイント✕「OJT教育」
第5回:「構造金物」工事のポイント✕「設計図書の工夫で不備をなくす」
第6回:「耐力壁」工事のポイント✕「監査は改善、検査は対処」
第7回:「外壁防水」工事のポイント✕「情報共有の重要性と現場の透明化」
第8回:「通気層」工事のポイント✕「原理原則を知るとわかること」
第9回:「断熱」工事のポイント✕「第三者監査を取り入れる目的」
第10回:「内装ボード」工事のポイント✕「職人の技能をほめる」
第11回:「小屋裏換気」工事のポイント✕「最初からハードルを上げないこと」
第12回:「浴室・浴室廻り」工事のポイント✕「生産性向上を図る!「ムリ」「ムダ」「ムラ」の改善」
第13回:「外部仕上げ」工事のポイント✕「人材育成」という課題の解決
第14回:「コンクリート・型枠」工事のポイント✕「コスト削減と施工品質確保の両立」
第15回:「設計要因における不備解消」のポイント✕「民法改正に備える」
第16回:「床」工事のポイント✕「工程管理は2つの軸のバランスである」
第17回:「バルコニー防水」工事のポイント✕「現場品質が向上しない理由。ここが欠けている!」
第18回:「大工職人」のファインプレイ✕「住宅リフォームにこそ、施工手順マニュアルが不可欠」

 


 
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小村 直克
株式会社 NEXT STAGE

1968年2月生まれ。1990年大阪学院大学経済学部卒業後、小堀住研(株)(現:(株)ヤマダホームズ)、 そして建材商社を経て、2006年に(株)NEXT STAGEを創業。 民間でいち早く第三者検査事業をスタートさせ関西を中心に普及させてきたが、本質的な技術者の人財化や 品質向上への仕組みにギャップを感じ、2013年には、業界初の施工品質監査ナレッジマネジメント体系を業界に提唱し、 「監査」という独自の手法を用いたPDCAサービスを展開する。 現在では全国8拠点、800社を超えるビルダーがサービスを導入し、2020年には建築技術に特化した 学習環境プラットフォーム事業を本格化させ、2021年8月より、これまで蓄積してきたテクニカルビックデータを駆使し、 誰もが参入できなかったデータ&アナリティクス事業を実現させ、これからの住宅価値を変えるエッセンシャルな建設DXを 推進する。 

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