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2020/11/20 08:57 - No.931


第2回 規格住宅こそ「プログラムマネジメント手法」を活用する


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~思考が変われば現場施工も変わる!~NEXT STAGEが監修する施工管理メソッド
小村 直克

2020/11/20 08:57 - No.931

 
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 現在の新築住宅の多くが、「規格住宅化」してきたと言えます。

特に20代後半から40代前半の新築住宅取得者の割合が多く、取得するお客様の年収から導き出される借入金額も不動産取得から考えてみても、建物にある程度ローコストな住宅を選択しなければ実際には購入できないという現実も存在します。

しかしながらユーザーにとっては安かろう悪かろうでは通用せず、ローコストでありながらも立地やデザイン、性能、そして品質といった視点からも厳しく要求されることから、住宅会社の達成すべき課題も山積していると言えるでしょう。

規格住宅の本来の強みを検討すれば、下記のような生産性や品質の向上が見込めるはずなのです。

そこで今回は、限られた実行予算の中で如何に安定した良質な住宅を引き渡せるか?という命題に対し、製造時の「施工管理」という実施精度に大きく影響してくることから、職人不足・現場監督不足およびスキル不足というハンディを背負った環境下であっても、どのように進めていけばよいのかを紐解いていきましょう!

 

まず、住宅における品質管理の考え方についてお話し致しましょう!

住宅における品質管理では、大前提として以下の4つの要素があると考えられます。



一般的には、維持管理の品質を除く3つの要素と呼ばれていますが、特に規格住宅化が進む現在では、新築時の設計仕様内容やスペック等によって竣工後の不具合に影響しているケースが非常に多く見受けられます。

従って、維持管理という行為は「長期優良住宅であるから…」「再受注を見込みたいから…」という単純な考え方でなく、維持管理結果からしっかり企画の品質を検討し、より良い設計仕様等の計画刷新へ導くための重要な作業であることをここでしっかりと認識しておきましょう。

規格住宅の本来の強みを検討すれば、下記のような生産性や品質の向上が見込めるはずなのです。


 


規格住宅は注文住宅と何が大きく違い、どんな特徴があるのでしょうか?

それは1邸1邸設計仕様が異なるのではなく、ある一定レベルの仕様スペックで商品化できていることにあります。

つまり、1邸を単発で管理するのではなく、商品単位で連続して管理できる点から、あらゆる業務工程に大きなメリットを期待できることが最大の特徴と言えます。

例えば、規格商品であるからこそ設計業務に関するスピードや精度も上がって来なければいけませんし、製造過程でも施工管理そのものの品質や生産性も向上できなければなりません。

そしてアフターを含めた維持管理業務も充実することで、自らが企画する規格商品ももっと魅力度をUPしなければ、規格住宅を製造するメリットはなくなってしまうのです。

しかしながら、現在の皆さまの現場では、下記のような状況に陥っているのではないでしょうか?



責任施工とユーザーへはアピールしたものの、結局はすべての業務が協力業者やアライアンスパートナーへ、依存しがちになっていることから、虚業へのリスクといった本来建築会社としてあるべき姿を形成できず、結果、行き当たりばったりの建物の提供となっていることが、業界の本質的課題だと考えます。

 

この回では4つの品質のうち、特に施工管理に影響を及ぼす「製造品質」に関する管理手法の考え方にスポットを当て、皆様に解説していきます。

製造過程で引き起るこの負のスパイラルの原因は、そもそも「プロジェクトマネジメント」という人的依存型の管理体系を脱却できない根本的思考に起因します。

実は、現在もほとんどのビルダーが実践している管理手法がこのプロジェクトマネジメント型であり、基本的に1プロジェクト(1邸別)単発に対して、PM(現場監督:プロジェクトマネージャー)が中心となってマネジメントする手法だということです。

下記の図を見てみましょう!


 

現在の一般的な建築工事に対しては、どうしてもPM(現場監督)の経験やスキルに依存し、現場単位で抑えていこうとします。

この手法は従来の注文住宅のような高額物件や大規模な工事などに適しており、物件単位で様々な目標設定やプロジェクト計画を個別に策定する必要があります。

だからこそ、管理に対する費用を価値と位置付け、携わるPMの遣り甲斐にもつながる従来型の管理体系だと言えるでしょう。

現在のこの管理手法では、当然組織力は生かせないし、生産性向上という目的は非常に到達しにくくなってきます。

特に、製造に関する直接原価や間接原価という部分を生産性向上とともに解決していかなくてはいけない時代に、全く逆行した体系だということなのです。

ただし、このような管理体系に転換した際のリスクというものも一部存在し、例えば現場に従事する職人の仕事の自由度や現場監督の今後のスキルアップという部分でのチャレンジ環境が限定されてくることも考えられます。

そのような仕事環境を補うべく学習環境の整備やプラットホーム化を並行して、同時に成熟させなければならないことも押さえておきましょう!

 

〈参考〉住宅建築業界に特化したクラウド動画学習サービス「ACRO5」→こちら

 

そして前段でも述べた、現在の規格住宅化という建築環境に対しては右側のプログラムマネジメント型に管理手法を転換していく必要があるということです。

極端にいうと工場生産型管理手法と言った方がわかりやすいかもしれません。

このプログラムマネジメント手法を用いることで、初めて組織全体を仕組みで管理できるスキームが確立でき、改善急務な品質の安定と向上、そして生産性向上を目指せる環境そのものが整うということになります。

そしてその環境を如何にうまく運用していくか?という実践スキームには、以下のPDCAの取り組みが絶対に必要だということを忘れないでください。

 

 

このPDCAサイクルは、実はSDCAサイクルという概念に転換しつつ高速回転させることがポイントとなります。

実は、SDCAの「S」は、Standardの「S」となります。

つまり「計画を標準化させる」という点がキーワードとなり、まさしく規格住宅化という体系には、商品別の品質基準というものを標準化していくことに尽きるのです。

 

このPDCAを回転させる4つのポイントとは、

  1. 自社が規格住宅として商品化した設計仕様に基づき、品質基準を明確に策定すること
  2. 組織で行うために、「同じモノサシ」で実践できるマニュアルや項目づくりを行い環境を整えること
  3. 同じモノサシで現場を評価し、職人・自社スタッフ・第三者スタッフといった多面的評価を行うこと
  4. 評価結果に基づいた要因分析や傾向分析を行い、課題解決へのプログラムを策定すること

以上の4つの取り組みを如何に高速回転で回すかに尽きるでしょう。

回せば回すほど、品質における安定と向上が具現化するという原理となります。

ただし、やみくもに高速回転させるのではなく、その効果を最大化するためには「ナレッジ化する」ということと、「可視化して行う」という2点を注意し、できるだけ会社のリソースとして蓄積したり共有しやすい環境に配慮したりすることも必要だと言えるでしょう!

是非、このプログラムマネジメントという思考を再度熟読していただき、特にコロナ禍の時代だからこそ、今ここで根本的な製造品質への見直しを全社で取り組んでいこうではありませんか!

 

現在弊社では、随時、無料カンファレンスを実施しておりますので、製造品質への改善改革へのお問い合わせは、下記までお気軽にご連絡くださいませ。お待ちしております。

株式会社 NEXT STAGE|06-6622-0333|info@nextstage-group.com 



 

 


 

第1回:「現場管理の方法は変わり始めている」
第2回:「基礎」工事のポイント✕「相談できる場所」
第3回:「土台」工事のポイント✕「自社基準があるから判断ができる」
第4回:「ルーフィング」工事のポイント✕「OJT教育」
第5回:「構造金物」工事のポイント✕「設計図書の工夫で不備をなくす」
第6回:「耐力壁」工事のポイント✕「監査は改善、検査は対処」
第7回:「外壁防水」工事のポイント✕「情報共有の重要性と現場の透明化」
第8回:「通気層」工事のポイント✕「原理原則を知るとわかること」
第9回:「断熱」工事のポイント✕「第三者監査を取り入れる目的」
第10回:「内装ボード」工事のポイント✕「職人の技能をほめる」
第11回:「小屋裏換気」工事のポイント✕「最初からハードルを上げないこと」
第12回:「浴室・浴室廻り」工事のポイント✕「生産性向上を図る!「ムリ」「ムダ」「ムラ」の改善」
第13回:「外部仕上げ」工事のポイント✕「人材育成」という課題の解決
第14回:「コンクリート・型枠」工事のポイント✕「コスト削減と施工品質確保の両立」
第15回:「設計要因における不備解消」のポイント✕「民法改正に備える」
第16回:「床」工事のポイント✕「工程管理は2つの軸のバランスである」
第17回:「バルコニー防水」工事のポイント✕「現場品質が向上しない理由。ここが欠けている!」
第18回:「大工職人」のファインプレイ✕「住宅リフォームにこそ、施工手順マニュアルが不可欠」

 


 
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小村 直克
株式会社 NEXT STAGE

1968年2月生まれ。1990年大阪学院大学経済学部卒業後、小堀住研(株)(現:(株)ヤマダホームズ)、 そして建材商社を経て、2006年に(株)NEXT STAGEを創業。 民間でいち早く第三者検査事業をスタートさせ関西を中心に普及させてきたが、本質的な技術者の人財化や 品質向上への仕組みにギャップを感じ、2013年には、業界初の施工品質監査ナレッジマネジメント体系を業界に提唱し、 「監査」という独自の手法を用いたPDCAサービスを展開する。 現在では全国8拠点、800社を超えるビルダーがサービスを導入し、2020年には建築技術に特化した 学習環境プラットフォーム事業を本格化させ、2021年8月より、これまで蓄積してきたテクニカルビックデータを駆使し、 誰もが参入できなかったデータ&アナリティクス事業を実現させ、これからの住宅価値を変えるエッセンシャルな建設DXを 推進する。 

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