木造住宅の耐震等級はどのように選ぶのか?
設計段階でお客様に確認し、選んでもらってはいないでしょうか・・
では、どのように選んでもらうのか。
耐震等級1は建築基準法で規定されている耐震性能、耐震等級2は建築基準法の1.25倍の耐震性能、耐震等級3は基準法の1.50倍の耐震性能です。
どれがいいですか?
もう少し細かく説明すると、耐震等級3は2016年に発生した熊本地震で震度7が2回来た益城町に16棟建っていました。16棟とも住み続けています。
耐震等級1は大地震が来ても家族の命を守ります。しかし、一生に一度来るかどうかの大地震です、さすがに住み続けることはできません、繰り返しの地震にも耐えられません。でも、家族の命は守ります。
この説明で、お客様はどの耐震等級を選択するか?
意外と、耐震等級1を選ぶお客様が多くいます。決め手は家族の命を守れるから!
もう住めなくなっても命が助かれば・・と考えます。
実はこの選択をするお客様、それとどちらかを選択してもらう建築士、どちらも言葉で聞いていること、言っていることが実際の被害状況としてイメージできていません。
だから、命を守るが住めなくなる耐震等級1を選ぶのです。
この写真は熊本地震で被害を受けた耐震等級1の木造住宅です。
説明の通り、家族の命を守りましたが、もう住めないほど損傷しています。これが耐震等級1の被害状況です。
建築基準法で規定している耐震等級1の性能はこのレベル。
命を守るだけで、住み続けることまでは求めていません。
次の写真は、益城町の建つ耐震等級3の木造住宅です。
2回の震度7に耐え、住み続けることができています。
この耐震等級1と耐震等級3の被害写真を見たら耐震等級1は選択しないのではないでしょうか・・
2016年の熊本地震の被害状況で分かったことは]、耐震等級3が繰り返しの地震にも耐え、住み続けることができるだけの耐震性能があったということです。
これを踏まえて、お客様に伝えるべきとは、
・命を守るけど、もう住めなくなる住宅 耐震等級1
(耐震等級2も倒壊、損傷しています・・)
・命も財産も守り、住み続けることができる住宅 耐震等級3
どちらが良いですか??
ではなく、
命も財産も守る耐震等級3が標準仕様なので、耐震等級3で建てます!
と伝えてください。
これが、耐震等級3の必要性をぜひ理解して、標準化してください。
ちなみに、益城町にあった16棟の耐震等級3の木造住宅は、運よく耐震等級3を選んだ16家族ではありません。
選んだ工務店、ビルダーが耐震等級3を標準化していたのです。
お客様の運任せのような住宅づくりはやめましょう!
第1回:どうして「構造」って難しいの?
第2回:なぜ、構造計算をしないでいられるのか
第3回:「経験と勘」では木造住宅は安全にも快適にもならない
第4回:構造計算できない人に「経験と勘」はない!
第5回:荷重に対する感覚が重要 雪の重さは半端ない!
第6回:熊本地震その後、益城町のいま2019年
第7回:四号特例について考えてみる
第8回:四号特例について考えてみる その2
第9回:木造住宅の構造安全性確認方法について
第10回:四号建築物の仕様規定
第11回:四号建築物の仕様規定 8項目の仕様ルール その1
第12回:四号建築物の仕様規定 8項目の仕様ルール その2
第13回:四号建築物の仕様規定 8項目の仕様ルール その3
第14回:四号建築物の仕様規定 8項目の仕様ルール その4
第15回:四号建築物の仕様規定 8項目の仕様ルール その5
第16回:四号建築物の仕様規定 8項目の仕様ルール その6
第17回:四号建築物の仕様規定 8項目の仕様ルール その7
第18回:四号建築物の仕様規定 8項目の仕様ルール その8
第19回:自然災害について考える
第20回:耐風設計どう考える?
第21回:計算方法と強度ランクの関係
第22回:耐震等級の目安を付ける
第23回:それって迷うところ?
第24回:その差はどこから?
第25回:建築士とお客様の時間差
第26回:建築士の仕事とは
佐藤実先生のYouTube講座が始まりました!チャネル登録がおすすめです。
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